Privacy Policy Cookie Policy Terms and Conditions イデオン (架空の兵器) - Wikipedia

イデオン (架空の兵器)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

イデオン (IDEON) は、アニメ伝説巨神イデオン』に登場した、架空の兵器。第6文明人が開発し、地球人によって発掘された巨大ロボットである。

目次

[編集] 概要

第6文明人が開発した人型のイデ・システム。無限エネルギーによって恐るべき戦闘能力を発揮する。

Aメカ(イデオデルタ/ソルアンバー)、Bメカ(イデオノバ/ソルバニア)、Cメカ(イデオバスタ/ソルコンバー)の3台のメカからなり、各コクピットの光を放つゲージが「イデ」に反応し、合体が行われる。全身にミサイルポッド、グレンキャノンが積み込まれ、大型ミサイルやビーム砲などの直撃なども撥ね退けるバリアーも有する。

イデオンソード、イデオン波導ガンといった武器を使用すると、もはや同サイズの兵器や戦艦で倒すことは不可能で、数千、数万の物量攻撃を持ってしないと戦力的に対抗出来ない。

数あるスーパーロボットの中でも最強クラスの戦闘力を持つ。

[編集] 機体諸元

[編集] 本体

全高 105m 重量 5,650t エンジン出力 120,000t/df+X
Aメカ、Bメカ、Cメカの3機がドッキングして完成する巨大人型のロボット。

[編集] A・B・Cメカ

各メカは、基本形態で発掘・復元された。戦闘形態および合体形態に変形可能。

[編集] ソル・アンバー(Aメカ基本形態)

全長 32.5m 全幅 17m 全高 15.5m
合体形態ではイデオンの頭部、肩部、腕部に変形。

[編集] イデオ・デルタ(Aメカ戦闘形態)

全長 52m 全幅 45m 全高 16m 重量 1,413t エンジン出力 30,000t/df
重戦闘機タイプ。バランスのとれた攻撃力と、高い機動力を誇る。

[編集] ソル・バニアー(Bメカ基本形態)

全長 36m 全幅 21m 全高 16.5m
合体形態ではイデオンの胸部、腹部に変形。

[編集] イデオ・ノバ(Bメカ戦闘形態)

全長 28.5m 全幅 26m 全高 19.5m 重量 1,695t エンジン出力 36,000t/df
重戦車タイプ。大型ミサイルポッドと大型グレンキャノンが出現。他の二機に比べると特に空戦性能が上がるといった事は無く(むしろ下がっている)、基本形態とくらべて戦闘力はかなり上昇する。

[編集] ソル・コンバー(Cメカ基本形態)

全長 57.5m 全幅 24m 全高 18.5m
合体形態ではイデオンの腰部、脚部に変形。

[編集] イデオ・バスタ(Cメカ戦闘形態)

全長 79.5m 全幅 46m 全高 20m 重量 2.542t エンジン出力 54,000t/df
重爆撃機タイプ。ミサイルポッドの大半が機体下部に集中する。

[編集] 武装・性能

[編集] コントロール

イデオンはソロ星の地中から地球人の科学者たちによって発掘されたが、ABC3体のメカが分離した状態で復元され、コントロールの方法も不明だった。地球人の手で、サブコントロールシステムとしてコクピットが組み込まれていたが、イデによって自由なコントロールは不可能であった。
コクピットはかなりの大きさがあり、各メカごとに3人分の専用座席を設置できるほどの広さ、さらに数人が入れるだけのゆとりを持つ。10面モニターはかなりの視界を確保できる。

[編集] 格闘攻撃

テレビシリーズの第1話でイデオンに合体した際、バッフ・クランの偵察機コポラを2機、パンチで撃墜している。その後取り付けられるなどして、イデオンの武装は増えていくが、パンチやキックなどはイデオンの強力な攻撃手段のひとつだった。
さらにはAメカのみ分離してのパンチ攻撃や 3機が分離してのパンチ・キックなど人型に縛られない変幻自在な「ドッキングアウト」は格闘戦の定石を打ち破るものだった。

[編集] グレンキャノン

ソロ星駐留軍の手によって取り付けられたビーム砲(第2話)。各メカに数門ずつ設置されたが、合体後に使用したのは主に腹部のドームが開いて現れる2門(センター・グレンキャノン)であった。ノーマルエンジンでも強力な威力を持つが、イデがノーマルパワーを潜在的に推し高めていたため、戦艦の主砲に匹敵する威力を発揮した。イデによるパワーアップの為に、エネルギー系統が焼ききれるといった事態も発生している。

[編集] ミサイル

イデオンをバッフ・クランとの戦闘に使用するため、ソロ星駐留軍によってその全身にミサイルランチャーが多数取り付けられた(第2話)。イデオン内部にかなりの空間があったため最終的には549門、1万6千発のミサイルを搭載した。はじめはミサイルランチャー、グレンキャノン共に射手が必要なことが多かったが、終盤は完全にコクピットから発射のコントロールを行っていた。初期のまだイデオンの詳しいことが解っていなかった頃では、イデオンに合体した際、使用できなくなる位置に設置されたランチャーも多かった。

[編集] 全方位ミサイル(ミサイル一斉発射)

イデオンが全方位の敵に対して、全身のミサイルを一斉に発射する攻撃の通称。劇中この名称で呼ばれていた訳ではない。別名「カミューラ・ランバン・アタック」。直立した姿勢からやや前屈みになり、曲げた両腕で頭部と胸部を覆うようなポーズから、全身のミサイルランチャーを一斉に連続発射。ミサイルランチャーの砲口から多数の光が直線的に伸びる描写だった。周囲の敵を一斉に攻撃できる分、ミサイルの消費も激しい。第14話で、カミューラ・ランバンの死を目の当たりにして怒りに燃えたコスモが初めて行い、ジルバル・ドク隊のズロオ・ジック部隊を撃退している。第27話、29話、39話でも行われた。
又、ミサイル一斉発射時のミサイルが飛び乱れるシーンは板野一郎が作画し、後の『超時空要塞マクロス』等の空中ミサイルでのアクロバットシーン、通称板野サーカスの元になった。

[編集] ミニ・ブラック・ホール

第18話に登場。アジアン星を準光速ミサイルの第3波攻撃が襲った際、パイパー・ルウの目覚めとともに発動。腹部のシャッターが開き、内部の空洞から放出された複数個のミニ・ブラック・ホールが、準光速ミサイル12発を消滅させた。

[編集] 波導ガン(イデオンガン)

第28話で初登場。映画版の名称はイデオンガン。イデオンの母船ソロ・シップの機関部から発見された。
砲身後部から伸びる2本のエネルギーチューブを、イデオンの腹部のシャッター内にあるプラグに接続し、砲身の左右にあるグリップをイデオンの両手で保持して使用する(ちなみに波導ガンのグリップは垂直に握るようになっているが、テレビシリーズのオープニングでイデオンが使用している大型火器は、グリップは水平に握る描写となっていた)。イラ・ジョリバが持っていた解析図を見たコスモは「グレンキャノンと同じ」と発言したが、発射時は誘導ビームが伸びていった後、暗灰色の超重力渦巻きが放射状に広がって行き、影響範囲のすべての物体を崩壊させる。事実上、防ぐ手段は無いに等しい。(亜空間飛行で回避することもできるようであるが、発動編において通常空間から亜空間飛行中のバイラル・ジンを半壊させたことがある。)
波動ガンに限らず、イデオンは設計の通りではない威力を発揮する事が多い。簡単な例では、3機のメカのジェネレーターの出力を合計してもイデオンは空を飛ぶ事はおろか歩く事もままならないと小説版において言及されている。なのにそれを成し遂げるのはイデの無限力による強化だと考えられるが、波動ガンはその極端な例だと思われる。ただの粒子砲(グレン・キャノン)がイデの力でとてつもない武器となっているのだろう。
波導ガンは最大パワーで発射されたことはついに無く、射程は無限。半分以下のパワーでバッフ・クランの大艦隊を消滅させる。地表近くで発射した際には、地形を変えてしまうほどの大被害を与え、第32話では土星のように見える、太陽系第6惑星のリングを4分の1ほど消失させている。発動篇では、迫りくるバッフ・クランの大艦隊や重起動メカの大軍をなぎ払い、さらには射線上にあった惑星を打ち抜いてその向こうの大艦隊を全滅させた。(そのうえ、通常空間から亜空間飛行中のバイラル・ジンを射撃、半壊させた。)
波導ガン自体に4つのスラスターがあり、イデオンまたはソロ・シップの遠隔操作によって、短距離の移動が可能だった。

[編集] イデオンソード

第29話で初登場。イデオンの手首に8個(両手で計16個)あるノズルから白色のビームを発射して、あたかも腕から伸びる長大な剣のように使用する。偶然イデオンに乗っていたパイパー・ルウが、ゲル結界による攻撃で失神した際に発動した。初使用時はバッフ・クランの特務艦2隻を撃沈。しかしその威力は次第にエスカレート、第33話ではエネルギー吸収生命体ヴァンデを撃退し、第35話では落下するナイト・スターの衛星を破壊、第38話ではついに惑星ステッキン・スターを両断してしまった。イデオンのパワーが上昇しないときに、1つだけのノズルからビームを発射して、重機動メカガンガ・ルブ・リブを撃墜する描写があった(第36話)。発動篇では、イデオンガンとの同時使用で彗星を消滅させた。発動篇のラストで超巨大兵器ガンド・ロワを切り裂くものの、同時にガンド・ロワが発射され相討ちとなった。
小説(スニーカー版)の挿絵のコメントには、イデオンソードはイデの直接放出あるいはイデの意思とある。イデと無限力は因果律そのものである事から手首から伸びる光のエネルギーの束により両断されたと考えるよりも、その光(=運命・因果律)に接触すると両断される結果を得ると考えた方が良いのかもしれない。

[編集] バリアー

バリアーこそがイデ・システムの本質であり、イデ・パワーの源である。
バッフ・クランのあらゆる猛攻に耐え抜くことができたのはバリアーのおかげである。合体時等に展開されるオレンジのバリアーは敵の攻撃を防ぐものだが、透明なバリアーも存在し、完全ではないものの潜在的に生命体を保護、加速や慣性・衝撃を軽減する働きをしていた(ゲル結界もこれによって威力が弱められていた)。さらにイデオナイトそのものを恒常的に防御するバリアーも存在し、それこそが数十億もの第6文明人の意志をひとつの場に集中させ、イデを生み出す根源であった。
イデの力が高まっている時のバリアーは敵のあらゆる攻撃を防ぐ。第23話ではイデオンの肩で起きた小型核爆弾の爆発にも耐えた(イデオンの左肩はほぼ吹き飛んだが、それ以外の機体およびパイロットは無事だった)。発動編ではガンド・ロワのビームすら防いだ。しかし、イデの力が弱まった時にはバリアーの威力も低下し、重機動メカの肉薄攻撃によって大きな被害を受けたこともあった。イデオンの通常エンジンのパワーは、バリアーによって高出力、高効率化していた。

[編集] イデオンの咆哮

イデオンは物語中盤以降、パワーアップや新たな能力の発現に際して「ウオオオーン」という雄叫びをあげるようになった。第14話の雄叫びはコスモ役の塩屋翼の声を、それ以降の雄叫びは効果担当の松田昭彦の声が元になっているとのことである。

[編集] イデ

[編集] イデ・システム

「イデ」とは、第6文明人が開発したエネルギーシステムで、人の意思をエネルギーの源とする。その人の意思をエネルギーに変換するシステムが「イデオン」と「ソロ・シップ」である。
もともとイデ・システムとは人間の意思の力でメカを稼動・コントロールしようとすることが目的であった。ところがシステムが予想以上の力を発現し、乗組員のみならず、すべての第6文明人の意思を肉体から切り離し、取り込んでしまったため、第6文明人は絶滅したと考えられている。
誕生した瞬間イデは自らの生きる源を失ったことに気付き、すべての力を使って全宇宙に生命の種子をばら撒き、新たな知的生命体の誕生をうながした。その種子から誕生したのが地球人とバッフクランという2つの種族だった。

[編集] イデオナイト

イデオンとソロシップを構成している金属。フォルモッサ・シェリルが命名した。
分子単位のコンピュータを含有しており、生物的に表現すれば細胞にあたる。バリヤーを発生し人の意思をひとつの場に封じ込め、エネルギーに転化させるシステムそのもの。おそらく何億年単位で自己修復、自己増殖の機能を有しており、事実上、不滅の存在と言える。
イデのパワーにより光輝く。

[編集] イデのゲージ

イデオンの各コクピット、ソロシップのブリッジその他に配置されているイデのパワーを表示する円形の物体。当初イデは、知的生物の自己防衛本能に反応し顕現していた。イデそのものは人のコントロールの及ぶものではく、いつしかイデは自分の意思を持ち始める。

[編集] 無限エネルギー

イデが無限のエネルギーを発生できるのは、数十億もの第6文明人の意志の集中によるものである。
劇中で明確に示されているわけではないが、イデのエネルギーの源はブラックホールであるとする考察がある。意志の集中は時空の歪みを発生させ、遠いブラックホール内部からエネルギーを取り出すことを可能とする。流星にしてもブラックホールに落ち込んだ流星を取り出し、放出するわけであり、直接ブラックホールそのものを取り出せばミニ・ブラックホールとなる。距離も時間も関係なく、全宇宙規模でエネルギーを扱えるイデはまさに 無限エネルギーといわれる存在だろう。ガンド・ロワは超新星のエネルギーを集中させるので、ブラックホールのイデとは表裏一体のシステムだが、瞬間の出力量ではガンド・ロワが上であった。
本来イデは、システムと知的生命体に依存しなければ生きてはいけなかった。だが、地球とバッフ・クランの人々の意志をも次々と取り込んで拡大し、ついにはひとり立ちするに至った。
小説版の記述では無限力(むげんちから)は無限大の力として顕れるものではなく、無限大の力の場であるとの事。またドバ総司令の言葉によれば「因果律こそがイデ」であるという。これらの事からイデはエネルギーそのものではなく、因果律や運命そのものであるようだ。無限大の力としては存在していないが、その場の因果律を支配しているので無限大に近似される。0でない可能性があればそれは実現する。偶然地球人とバッフが接触し、行き違いが起こって戦いが始まり、真っ向勝負以外の平和解決の道が断たれていく。真に無限力に相応しい振る舞いである。

[編集] 合体、変形について

イデオンは3機のメカが変形して合体する設定だったが、そのギミックにはかなり無理があった。一例を挙げると、ソル・アンバーはイデオンの腕・肩を構成しているという設定で、イデオンの下腕になる機体上部が後方に展開するのだが、ピボットらしきものの描写が一切ない。また機首部分が機体後方へ向かって若干隆起しているが、イデオンおよびイデオ・デルタに変形すると、その隆起は消滅している。その他にも数々の矛盾があるため、玩具やプラモデルでの完全な変形・合体の再現はほとんど不可能であった。
3機のメカが合体した場合、コクピットはそれぞれ通路で結ばれて、パイロットはムビオラ等で移動することができた。ここで注目したい点はコクピットの構造である。バスやタンクローリーに似た3機のメカが地面でイデオンに合体すると、人型の巨大ロボットが仰向けに横たわった状態になる。第1話で合体した際、コスモ達のコクピットはいつの間にか向きが変わっていた。合体前までパイロットはAメカの進行方向を向いていたが、イデオンに合体後は頭を進行方向に向けて、Aメカの天井に向かって仰向けに座るように、コクピット全体が向きを変えていた。そのような状態になるためには、コクピットは左右いずれかに180度回転した後、上方に90度仰向くように回転しなければならないが、コクピットが回転する描写は一度もなかった。第24話でイデオン内部の見取り図が出た際、コクピットが円形に表示されていたので、回転する構造になっていた可能性はある。
超合金魂にて立体化が予定されており、どのように再現されるか注目されている。

[編集] 予備知識

SF映画禁断の惑星』のイドの怪物(プラトンイデア論)を基にしている。

当初は敵が撤退すると自立的に活動を完全停止した。また、そのパワーも極めて不安定で、必要な時に能力を発揮する事が出来なかったりと主役泣かせのロボットだと言える。実際、スーパーロボットに付き物である必殺武器が使用出来るようになったのは番組後半になってからで、それまでは格闘とミサイルだけで戦っていた。原作の内容と相まって、イデオンをスーパーロボットというカテゴリーに分類していないアニメ誌やゲーム誌もある。だが、物語が進むにつれて、無限力に相応しい能力を徐々に発揮していく。後半になると、主人公たちのコントロールをほとんど受け付けなくなり、特に最終話直前の回で、惑星をイデオンソードで真っ二つにしたシーンはファンの間で大きな話題を呼んだ。劇場版後半である「発動篇」ではイデオンガンを撃ちまくって敵の大群を薙ぎ払い、最後はバッフ・クランの最終兵器ガンド・ロワと相打ちに近い形で消滅した。

ゲームではスーパーロボット大戦シリーズに登場し、ゲームバランスを崩す程の絶大な戦闘力を見せ付けてくれるが、その分、イデオンソードやイデオンガンを使えるようになる条件が厳しいため、使いこなすのが大変な機体である(使いづらさ故にプレイヤーによっては殆ど使ってもらえないという事も)。また、場合によっては破壊されただけでイデが発動し、問答無用でゲームオーバーになる事がある。

[編集] その他

長谷川裕一漫画作品『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』では、単に埋められていただけでなく、無から誕生している途中であったとされる。

[編集] 参考文献

  • 日本サンライズ『伝説巨神イデオン記録全集』(1)~(5)、『伝説巨神イデオン台本記録全集』(1981,1982年発行)
  • ラポートデラックス(4)『伝説巨神イデオン大辞典』(1982年発行)
  • 徳間書店ロマンアルバム・エクストラ(48)『伝説巨神イデオン』(1982年発行)
  • 講談社テレビマガジンデラックス(11)『TV版 伝説巨神イデオン ストーリーブック(1)』(1982年発行)ISBN4-06-172461-4
  • 講談社テレビマガジンデラックス(12)『TV版 伝説巨神イデオン ストーリーブック(2)』(1982年発行)ISBN4-06-172462-2
  • 講談社テレビマガジンデラックス(13)『TV版 伝説巨神イデオン ストーリーブック(3)』(1982年発行)ISBN4-06-172463-0
  • 講談社テレビマガジンデラックス(14)『劇場版 伝説巨神イデオン ストーリーブック 発動編』(1982年発行)ISBN4-06-172464-9
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