アトラス (ミサイル)
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アトラス(Atlas)MGM-16は、1950年代の後半にアメリカ合衆国で開発され、アメリカで初めて実戦配備された大陸間弾道ミサイル(ICBM)である。
[編集] 概要
アトラスはアメリカ空軍で最初のICBMであり、その名称はギリシャ神話の巨人アトラスにちなむ。アトラスはアメリカ国内配備のタイタンI、イギリスに配備されたソー、イタリアとトルコに配備されたジュピターと共に初期の冷戦におけるアメリカ空軍の核戦力の一翼を担った。キューバ危機の時には発射準備態勢に入っている。
アトラスはコンソリデーテッド・ヴァルチャー社(コンベア社、現在のジェネラルダイナミクス社)によって核弾頭を備えた射程8,000kmの戦略ミサイルとして第二次世界大戦の直後の1946年からMX-774として開発が始まり、試験型のA、B、Cの三タイプが発射試験に供された後、最初の量産型であるD型が1959年の終わりに完成してヴァンデンバーグ空軍基地に配備され最初のアトラス大隊である第576戦略ミサイル大隊が三基のミサイルで作戦配置に着いた。この配備は屋外で無防備のままであったが、次に誘導装置やエンジンを改良したE型が地上に寝かせた棺桶型のバンカーで配備され、さらに地下式のミサイルサイロに配備されたF型が次々に完成し、量産型のD、E、Fの三タイプ合計で100基以上がアメリカ国内に配備された。なお、一時期無人爆撃機と見做され、B-65の型番を与えられていた。
アトラスのロケットエンジンはRP-1(ケロシン)を燃料、液体酸素を酸化剤に用いている。飛行制御は二基のバーニアエンジンで行う。エンジンの構成は1.5段式と呼ばれる独特のもので主エンジンに切り離し式ブースターエンジンを組み合わせている。ブースターエンジンは個別の燃料タンクを持たず主エンジンと共用となっており140秒間燃焼した後に投棄される。燃料タンクは軽量化のためにごく薄いステンレスで作られているが、あまりに薄いためそのままでは自重を支えることができず、風船のように燃料内圧で強度を保つ方式(バルーンタンク)となっている。燃料が入っていない時は窒素ガスで加圧されて形状を保つ。
アトラスや旧ソ連のR-7、タイタンIなどの初期のICBMは酸化剤として液体酸素(LOX)を用いる液体燃料ロケットを採用しているが、LOXは極低温のため蒸発を考慮せねばならず、ミサイルに搭載したまま配備することができなかった。発射命令が下ってから断熱化された耐圧タンクに保存されているLOXと燃料をミサイルへ注入しはじめてから実際に発射されるまでには数時間の作業が必要であった。このためLOXを酸化剤とするICBMの配備期間は短く、赤煙硝酸と非対称ジメチルヒドラジンを推進剤とする常温保存が可能な液体燃料や固体燃料を用いるロケットエンジンを備える第二世代のミサイルに置き替えられていった。
退役したミサイルはアメリカ航空宇宙局(NASA)の衛星打ち上げロケットとして大量に使用されマーキュリー計画において、有人宇宙船(フレンドシップ7ほか合計4機)を軌道飛行させることに成功した。人工衛星打ち上げ用としては、第2段にアジェナロケットあるいはセントールロケットを用いた形態がとられている。また退役後は衛星打ち上げ専用として改良されたアトラスIIが開発され、最新型のアトラスVは現在でも飛行している長寿命のシリーズである。
[編集] 要目
- 名称: MGM-16A AtlasD
- 名称: MGM-16A AtlasE
(以下同上)
- 名称: MGM-16A AtlasF
- 1962年実戦配備、1965年退役
- サイロ配備(発射はエレベーターで地上に出てから)、ホットローンチ方式
(以下同上)