アオザメ
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アオザメ | |||||||||||||||||||||||||||
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Isurus oxyrinchus |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Isurus oxyrinchus Rafinesque, 1809 |
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||
アオザメ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Shortfin mako shark |
アオザメ Isurus oxyrinchus (青鮫、英名:Shortfin mako shark、ショートフィン・マコ・シャーク)は、ネズミザメ目ネズミザメ科 Lamnidae に属するサメである。和名は、背側の体色が鮮やかな青色であることに由来する。高速で遊泳し、捕食者として優れた能力を持つ。アオザメ属 Isurus には2 種が含まれ、アオザメ以外にバケアオザメ I. paucus がいる。
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[編集] 外見
背部は青色で、腹部に行くにしたがって白くなる。体長は平均1.8m~2.5m。最大3.9mの個体が記録されている。マグロやイルカに似た流線型の体と三日月形の尾鰭、鋭い歯を持つ。
[編集] 形態的・生態的特徴
サメ類の中で最速の部類に入り、時速70kmもの速さで泳ぐことが出来るといわれている。この高速遊泳を可能にするため、アオザメはいくつかの生態的・形態的特徴を持っている。
- 最も大きな特徴は、奇網という毛細静脈と毛細動脈が緻密に入り組んだ熱交換システムを筋肉の近傍に備えており、体温を周囲の海水温よりも高く保つことができることである。人間でも、例えば冬の寒い戸外にいて体温が低いときよりも、風呂に入ったりして体温が高いときの方が筋肉の運動性が良くなる。これと同じようにアオザメは奇網により体温、中でも筋肉の温度を高く維持しておくことで、たとえ冷たい海水中でも筋肉の運動性を低下させないようにしている。このような仕組みは高速遊泳を行うマグロ類やカジキ類などにも見られる。また海中から空中に高速で飛び出すことにより、高くジャンプすることが出来る。
- 体は流線型で、水の抵抗を受けにくい。
- 尾鰭はほぼ三日月型で、長時間の回遊と爆発的遊泳に適した形である。
また、歯は三角形で鋭く、海産哺乳類など大型の獲物を捕らえて食いちぎるのに便利である。 おそらく捕食の際には、高速で獲物に襲いかかり、強力な顎と歯で致命傷を負わせるものと考えられ、アオザメが有能なハンターであることをうかがわせる。
[編集] 分布
世界中の暖海域に広く分布する。外洋性。
[編集] 人との関わり
- 小説家のアーネスト・ヘミングウェーの代表作の一つである『老人と海』に、アオザメについて描写した箇所がある。
- 引きが強く針にかかると空中にジャンプするので、スポーツフィッシングの対象種となっている。
- 人に対しては危険な種とされているが、今までにこのサメが起こした事故は1件しか報告されていない。生息域が主に外洋ということで、人と接触することがあまりないためであろう。
- 地中海周辺地域では、ステーキなどにして食べるようである。美味といわれている。
- アオザメのフカヒレは通常出回っているヨシキリザメの物より高級とされ、高値で取引されている。
[編集] 近縁種
バケアオザメ Isurus paucus (英名:Longfin mako shark、ロングフィン・マコ・シャーク)
詳しい生態はまだほとんど分かっていない。生息が確認されたのは、北および西大西洋、バハマ、キューバ、マダガスカル島周囲、また太平洋においてはハワイ諸島周辺のみとなっている。背部は青色~紺色で腹部は白い。英名が示す通り、アオザメよりも大きな胸鰭を持つ。こちらも潜在的に危険とされているが、人を襲った記録は無い。