さとうきび畑
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さとうきび畑 | |
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歌手 | ちあきなおみ(*1) 森山良子(*2) |
作詞者 | 寺島尚彦 |
作曲者 | 寺島尚彦 |
編曲者 | 寺島尚彦 |
映像制作者 | (実写)(*1) 吉良敬三(実写合成)(*2) |
初放送月 | 1975年4月(*1) 1997年8月(*2) |
再放送月 | (?枠)2006年8月(*2) |
『さとうきび畑』(さとうきびばたけ)は、作曲家の寺島尚彦が自ら作詞も手がけた歌で、彼の代表作である。
第二次世界大戦末期の沖縄戦で戦死した人々が眠る、さとうきび畑に流れる風の音が繰り返される。全部で11連からなり、通して歌うと10分近くを要する。1967年(昭和42年)、歌手の田代美代子によって初演された。これまでにこの作品は、1969年にNHKの音楽番組「みんなのうた」でちあきなおみの歌唱で紹介された(1997年には森山良子の歌唱のものが使用された)ほか、森山良子をはじめとして、多くの歌手に歌い継がれてきた。なお、森山良子のライフワーク的な持ち歌として特に有名だが、森山良子は本来は(当初は)カレッジフォークを持ち歌としていたため、「さとうきび畑」のような反戦の歌を持ち歌とすることに当初抵抗感があったという。
第二次世界大戦を通して、沖縄人たちは日本で最も激しい地上戦を戦い抜いた。その激戦沖縄戦を通して、無数の人々が殺し合い、殺され、自決した。数え切れないほど多くの戦死者・自決者たちが今なお「さとうきび畑」の下に眠っている。作者の寺島は、1972年に日本に復帰する前の沖縄を訪れて、作品中「66回」繰り返される風の音を考えたという。
歌の主人公はひとりの少女である。少女は沖縄での戦闘で死んだ父親の顔を知らない。やがて大きくなると、ひとりで父親を探しにさとうきび畑に行く。父は、なぜ殺しあったのか、なぜ殺されたのか、なにを恐れ自決したのか。通り抜ける風の音を聞きながら静かに悲しみを訴える。
作者の寺島尚彦は2004年3月23日に逝去したが、半年前の2003年9月28日にTBS系列の2時間スペシャルドラマ『さとうきび畑の唄』が製作された。
[編集] 参考文献
- 田村洋三『ざわわ ざわわの沖縄戦 サトウキビ畑の慟哭』(光人社、2006年) ISBN 476981299X