NAG
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NAG ライブラリは、Numerical Algorithms Group(NAG社)により販売されているFortran、C言語、Java言語、などで使用可能な数値計算、統計解析用ライブラリである。線形方程式、固有値問題、補間、微分積分、非線形方程式、微分方程式などの数学関数のほかに、相関、共分散、多変量解析、乱数発生などの統計計算に必要な関数を多く取り揃えている。Windows、Linux、Solaris、HP-UX、IBM AIX、SGI IRIX, その他NECや富士通のスーパーコンピュータなどのプラットフォームで動作する。英国 The Numerical Algorithms Group Ltd. が開発、日本国内では日本ニューメリカルアルゴリズムズグループ株式会社が販売、サポートを行なっている。 NAG数値計算ライブラリでは利用言語や環境などにより以下の5種類のライブラリが用意されている。
- 「NAG Fortran Library」:すでに30年以上の歴史を持ち1400以上の関数より構成される。
- 「NAG Fortran90 Library」:Fortran90言語用に新たに開発された。
- 「NAG C Library」:C/C++言語の他、C#、VBA、Java等より利用可能
- 「NAG Fortran SMP Library」:(並列計算ライブラリとしてSMP環境用並列ライブラリ)
- 「NAG Parallel Library」:(PCクラスタなどの分散メモリ環境用並列計算ライブラリ)
また各ライブラリの関数ルーチンを開発ソフトに組み込み販売できるコンポ-ネントライセンスも提供されている。
[編集] 提供される関数
- 特殊関数
双曲線関数、ガンマ関数、誤差関数、ベッセル関数、フレネル関数、楕円積分、楕円関数、エアリー関数、ケルビン関数、エラー関数、Hankel関数
- 行列、ベクトル操作
逆行列、疎行列ユーティリティー
- 線形方程式
一般連立線形方程式、対称連立方程式、三角連立方程式、一般帯連立方程式、対象帯連立方程式、LU分解、コレスキー分解、疎行列連立方程式
- 固有値問題
固有値、固有ベクトル、シュール分解
- 特異値分解(SVD)
- 最小二乗問題
- FFT
- 畳み込み
- 曲線、曲面フィテッィング、補間
エルミート補間、1次元スプラインフィット、2次元スプラインフィット、修正シェパード法、チェビシェフ級数
- 最適化
線形計画法(LP)、2次計画法(QP)、非線形最小二乗法、非線形計画法、1変量最小化
- 非線形方程式
多項式の根、非線形方程式の根、連立方程式の根
- 求積
有限区間の数値積分、無限区間の数値積分、多次元積分
- 積分方程式
線形フレッドホルム積分方程式、非線形ヴォルテラ畳み込み方程式、アーベル型方程式
- 常微分方程式
ルンゲクッタ、初期値問題、アダムス、BDF、境界値問題
- 偏微分方程式
ヘルムホルツ方程式(Helmholtz)、マルチグリッド、楕円微分方程式、放物型偏微分方程式、ブラックショールズ(Black Scholes)、Bond ・メッシュ生成 反復法、Delaunay、Advancing-Front
- オペレーションズリサーチ(OR)
整数計画、最短経路問題
- 統計分散関数(偏差、確率)
正規分布、スチュ-デントT分布、χ二乗分布(カイ二乗分布)、F分布、ベータ分布、ガンマ分布、離散分布
- 乱数発生
準乱数、一様分布、正規分布、多変量正規分布、ベータ分布、指数分布、ガンマ分布、2項分布、超幾何分布、フォン・ミゼス分布、離散分布
- 1変量推定
2項分布信頼区間、ポアソン分布信頼区間、ワイブル分布信頼区間、ロバスト推定
線形回帰分析、多重線形回帰分析
- 相関分析
ピアソン積率相関係数、共分散行列、偏相関行列、偏共分散行列
- 多変量解析
因子分析、主成分分析、正準分析、クラスタ分析、判別分析
- 一般化線形モデル(GLM)
- 分散分析(ANOVA)
- 時系列分析
ARIMAモデルフィット、ARMAモデルフィット、予測、伝達関数、スペクトル解析、ACF、PACF
- 生存解析
カプランマイヤ推定値、コックス・ハザード・モデル、危険集合
- ノンパラメトリック統計
コックススチュアート検定、ウィルコクソン検定、ラン検定、マクネマー検定、マンホイットニー検定、フリードマン検定、クラスカルウォリス検定、コクランQ検定、コルモゴロフスミルノフ検定、ケンドールの合致係数、ケンドールの階数相関