DPF
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DPF(Diesel Particulate Filter)とは、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質を減少させる装置(フィルター)である。トラック・バス・トラクターなどのマフラーなどに装着する。2003年、八都県市で実施された排気ガス規制が実施された際には、基準を満たさない車両に半ば強制的に装着が義務づけられたことから注目された。最近では鉄道車両の気動車の一部にも装着されている。
[編集] 機構
基本的には、粒子状物質をフィルターで捕捉するだけである。ただし、フィルターが目詰まりを起こして機能が低下するため、ヒーターなどで燃焼再生させるセルフクリーニング機能が付加されている場合もある。また、触媒を組み合わせることにより、酸化されやすい一酸化炭素や炭化水素、粒子状物質を除去するものもある。この触媒方式では、フィルターの前段に強力な酸化触媒を置くことで、排気ガス中のNOxをより二酸化窒素(NO2)の多い状態にし、二酸化窒素の強力な酸化性能で粒子状物質を燃焼させるというジョンソン・マッセイ社(英国)が開発したCRT(連続再生式フィルター、Continuously Regenerating Trap)が初めて実用化のめどを示した[1]。 フィルターの素材は、熱に強いセラミックが用いられてきたが、コストの軽減を図るためにステンレスを用いるものもある。
DPFは再生方式により以下の種類に分類できる。
- 交互再生方式
- フィルターを少なくとも2セット以上装着し、フィルターのそれぞれが、捕集と再生の工程を交互に行うことで、再生時のエネルギー消費を最小に抑えるシステム。
- 連続再生方式
- CRTに代表される方式で、フィルターに捕集しながら再生を行う理想的な方式。CRTなどは、外部からのエネルギーの補填を必要としないので自己再生方式とも呼ぶ。
- 間欠再生方式
- フィルターに捕集した粒子状物質を間歇的に再生するやり方。たとえば、フィルターの捕集量を背圧でモニターし、ある値に達したとき強制的な再生をするやり方。再生には当然追加のエネルギーを消費するので、システムとしては自己再生を如何にうまく機能させるかがこのシステムを成立させるキーになる。
- 添加剤再生方式
- 燃料中にセリア(酸化セリウム、CeO)などの触媒を添加し、粒子状物質と触媒とをより接近させることで粒子状物質の酸化を促進することにより再生するやり方。