黒祠の島
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『黒祠の島』(こくしのしま)は祥伝社より発売されている小野不由美の小説作品。およびこれを原作とする作画・山本小鉄子(やまもとこてつこ)による漫画作品。漫画版は2005年11月・12月、2006年2月に描き下ろしの形で幻冬舎から発売された。
目次 |
[編集] あらすじ
- 調査事務所を営む式部剛は、懇意にしていた作家の葛木志保が行方不明になったことから、九州北西部にある彼女の故郷・夜叉島を訪れることになる。
- 式部は閉鎖的な村人からは情報を得ることが出来ず、一旦は島を出ようとするが、何か異様なものを感じ村に留まることにする。その後、村の医師・泰田の協力を得られることとなったが、泰田から伝えられたことは「葛木志保は死んだ」という言葉であった。
- 明らかに他殺体であるのに、真相を調べようとしないことに不信感を抱いた式部は、村の事情や過去に起こった出来事を調べていく。
[編集] 登場人物
- 式部 剛(しきぶ たける)
- 石井探偵事務所の所員であったが、オーナー亡き後、石井調査事務所と名前を変え、作家やライターなどから依頼された取材などを代行する。
- 葛木 志保(かつらぎ しほ)
- ノンフィクション作家。式部の事務所に度々取材を依頼していた。故郷の話などは一切しなかった。
- 伊 東輝(い とうき)
- 大学生。式部の助手として石井調査事務所でアルバイトをする。
- 永崎 麻理
- 葛木志保の友人。法律事務所に勤める。故郷の話などは一切しなかった。
[編集] 夜叉島の人々
[編集] 神領家
- 神領 明寛(じんりょう あきひろ)
- 神領家・現当主。
- 神領 須磨子(じんりょう すまこ)
- 明寛の妻。
- 神領 康明(じんりょう やすあき)
- 故人。明寛の長男。悪性リンパ腫で亡くなる。
- 神領 英明(じんりょう ひであき)
- 故人。明寛の次男。溺死。(事故か?事件か?)
- 神領 浅黄(じんりょう あさぎ)
- 故人。明寛の長女。12歳の時、風邪をこじらせて亡くなる。
- 神領 浅緋(じんりょう あさひ)
- 神領家・現守護(下記参照)。明寛の次女。
- 神領 寛有(じんりょう ひろあり)
- 故人。神領家・先代当主。
- 神領 民江(じんりょう たみえ)
- 先代当主の妻。明寛の母。
- 神領 杜栄(じんりょう もりえ)
- 神霊神社の宮司。先代の守護。寛有の三男。明寛の2番目の弟。
- 神領 安良(じんりょう やすら)
- 神霊神社の先代宮司。寛有の2番目の弟。
- 神領 忠有(じんりょう ただあり)
- 故人(?)。寛有の弟。
- 神領 博史(じんりょう ひろし)
- 忠有の息子。加工会社を営む。
- 神領 光紀(じんりょう こうき)
- 博史の長男。加工会社に務める。
- 神領 泉(じんりょう いずみ)
- 博史の長女。高校生。
- 高藤 孝次(たかとう こうじ)
- 神領家の雑務などを取り仕切る。
- 高藤 圭吾(たかとう けいご)
- 孝次の息子。
- 松江
- 神領家のお手伝い。守護のお世話をする。
[編集] 大江荘
- 大江
- 民宿・大江荘の主人。中学卒業後、島を出たが、宿を継ぐために妻子と戻ってきた。
- 大江 博美
- 大江荘の主人の妻。
- 大江 兼子
- 大江荘の主人の母。迷信深い。
[編集] 永崎家
- 永崎 麻理(中学時代まで)
- 父親が誰か分からない。小学生の時、母親が首を吊っている現場を発見する。
- 永崎 弘子
- 故人。麻理の母親。島を出る時には身ごもっていた。夫の死後、島へ戻ってきた。
- 永崎 幸平
- 故人。弘子の父親。
- 永崎 篤郎
- 故人。弘子の兄。
- 永崎 登代恵(ながさき とよえ)
- 篤郎の妻。
- 永崎 均
- 篤郎の息子。実は、現在の泰田医師である。
[編集] 羽瀬川家
- 羽瀬川 志保(中学時代まで)
- 小学生の時、惨殺された父親を発見する。父親が存命中は、父とともに漁へ出かけ、父の代わりに船を操舵していた。
- 羽瀬川 信夫
- 故人。志保の父親。漁師をしていた。
- 羽瀬川 慎子(はせがわ みつこ)
- 故人。志保の母親。島を嫌い島外に嫁いだが、病気を患い大手術を受けてから弱っていき、島に戻るが、2年後に死亡する。
[編集] 診療所
- 泰田 均(やすだ ひとし)
- 僻地派遣医師として夜叉島に派遣された医師。式部に協力する。
- 竹之内
- 診療所で働く看護婦。本土から通ってくる。
- 津山
- 診療所で働く看護婦。本土から通ってくる。
[編集] その他
- 野村
- フェリー乗り場で働く男性。
- 瀬能(せのう)
- 野村の同僚。切符売り場担当。
- 太島(たじま)
- 島で宅急便屋を営む青年。
- 三好
- 弁護士。神領家の代理人として、資金面で麻理に援助をしていた。
- 小瀬木
- 永崎麻理が勤める法律事務所長。麻理の父親代わりだった。
[編集] 用語解説
[編集] 黒祠
- 明治政府が行った祭政一致政策によって、全国の神社は位階制で編成され、祭神も正統な神典に記載される神々に改められた。地方の小祠も統合されたり、弾圧されるなどしたが、その中で統合されなかったものを「黒祠」と言う。いわゆる邪教である。
[編集] 神霊神社
- (じんりょうじんじゃ)
- 神領家の分家が代々宮司を務める神社。神領家で守護の役目を終えた人が宮司になる。
- 主神は「カンチ」、祀られている神像は馬頭夜叉と呼ばれ、馬首で角を持ち全身青色である。
- 起源は、大昔に村人を喰らっていた鬼を旅の行者が鎮め、祀ったのが始まりである。
[編集] 守護
- 馬頭夜叉を鎮めるための存在。大抵、神領家(本家)の三男もしくは長女が務める。
- 守護は賓客として扱われ、たとえ親であってもその命令には逆らえない。
- 守護でいる間は蔵座敷で過ごし、決して外に出る事はない。戸籍すら与えられないが、役目を終えて外に出ると、戸籍がきちんと存在している。
[編集] 解豸
- 読みは「かいち」
- 青い毛を持ち、熊のように大きな羊に似た中国の伝説上の神獣。額から一本の角が伸びている。公正を見分ける霊力を持ち、偽りの方をその角で指し示すという。
[編集] 馬頭夜叉
- 悪いことをすると刑罰を下す。決裁が下る時には社に白羽の矢が立つ。
[編集] アシハライ
- 夜叉島に残る風習の一つ。浄めの神事。忌み事があると、海に牛を流し、死骸が戻ってくるかどうかで吉凶を占う。
[編集] 風車・風鈴
- 馬頭夜叉の決裁が下った後に馬頭夜叉を鎮めるための風供養。
[編集] 外部リンク
- 祥伝社ホームページ