造り酒屋
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造り酒屋(つくりざかや)とは、蔵で酒を醸造し、店舗でそれを販売する職業。
単なる酒屋との定義の境界線が明確にあるわけではないが、一般に酒屋は、土倉(どそう)として金融業や、荷送りなどの流通業、通信業などさまざまな業種を扱う総合的な豪商で、都市の中心にしっかりとした店舗をかまえ、手代や丁稚などの店員のほか、用心棒なども養っていた大所帯である概念が強い。
いっぽう造り酒屋は、純粋に酒を造りそれを売っていた所という概念で、規模も必ずしも大きくなく、ときには蔵人が一人で営んでいて、場所も都市の中だけでなく農村部や山間部にも多かった。 かなりさびれた街道沿いにも造り酒屋が点在していた様子が、昔の紀行文などからうかがえる。
蔵や店舗は自前の所有であったが、たとえば関東地方から東北地方に点在した江州蔵(ごうしゅうぐら)のように、はるか遠方に住む経営者が資本を持ち、派遣された蔵人が必要に応じて土地の労働者を季節雇用して営んでいるところもある。
江戸時代には幕府の酒造統制に翻弄され、衰滅したり、再生したり、新しいものが生まれたりした。
バブル経済以後の地酒復興期における零細な地方蔵のように、現在もその流れは細々と続いている。