記憶術
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記憶術(きおくじゅつ)とは、大量の情報を急速に記憶するための技術。
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[編集] 歴史的経過
古代ギリシアのシモニデスが開祖といわれる。修辞学の一部門として扱われていた。古代ローマの元老院などでは、メモを使用しての弁論が認められていなかったなどの理由により発達した。
[編集] 内容
記憶術は、大きく2つの系統に分類できる。一つは、純粋に記憶のコツのようなものによって記憶の効率を上げる方法、もう一つは、人間の能力を向上させることによって記憶力を向上させる方法である。
シモニデスによってなされた、宴の座席とそこに座っていた人間とを対応させて記憶する「座の方法」や、そこから派生した、物を掛けるためのフック(鈎)を想像して、これに記憶すべきものを対応させる「フックの方法」などが前者の例として知られる。
後者の例としては、視野の拡大や、右脳の活性化などによる方法や、記憶力の向上によい食品や生活スタイルの追求などがある。
現在体系化されている記憶術は多くは、この両者を組み合わせたものである。
[編集] 数字子音置換法(メジャー記憶術)
数字を子音に置き換える方法である。子音と子音の間に適当な母音を補う。英語などのヨーロッパ系の言語で用いられる。
- 0 → s, c(サ行の音), z
- 1 → t, d, th
- 2 → n
- 3 → m
- 4 → r
- 5 → l
- 6 → sh, ch, j, g(ヂャ行の音)
- 7 → k, c(カ行の音), g(ガ行の音), ng
- 8 → f, v
- 9 → p, b
[編集] 数字仮名置換法
数字を仮名に置き換える方法である。数字子音置換法を日本語用に改良したもの。
- 1 → あ行 → あ、い、う、え、お
- 2 → か行 → か、き、く、け、こ
- 3 → さ行 → さ、し、す、せ、そ
- 4 → た行 → た、ち、つ、て、と
- 5 → な行 → な、に、ぬ、ね、の
- 6 → は行 → は、ひ、ふ、へ、ほ
- 7 → ま行 → ま、み、む、め、も
- 8 → や行 → や、ゆ、よ
- 9 → ら行 → ら、り、る、れ、ろ
- 0 → わ行 → わ、ん、(ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ)
0がわ行だけでは少ないので、ぱ行も使う。
[編集] 語呂合わせ
数字を仮名に置き換える方法である。数字子音置換法よりも簡単に習得できるが、数字に対応する文字が少ないので、適当な文を作るのが大変である。音読みと外来語とその変形をカタカナ、訓読みとその変形をひらがなで表す。語呂合わせも参照。
- 1 → イチ、イ、ひと、ひ
- 2 → ニ、ふた、ふ
- 3 → サン、サ、み
- 4 → シ、よ
- 5 → ゴ、コ、いつ
- 6 → ロク、ロ、む
- 7 → シチ、なな、な
- 8 → ハチ、ハ、パ、バ、や
- 9 → キュウ、キュ、ク、ここの、ここ、こ
- 0 → レイ、レ、ゼロ、ゼ、まる、わ、ん、オー、オ
- 10 → ジュウ、ジュ、とお、と
- 100 → ヒャク、ヒャ、もも、も
- 1000 → セン、セ、ち
- 10000 → マン、よろず、よろ
0をアルファベットのOに見立ててオー、オとすることも見受けられる。 また1をアルファベットのIに見立てることもある。
[編集] 場所法
場所(実際にある場所でも、架空の場所でも良い)を思い浮かべ、そこに記憶したい対象を置く方法である。記憶したい対象を空間的に配列する方法である。片手指法、両手指法、時計法などがある。
この方法は海馬にある場所ニューロンの特性を利用している。場所ニューロンは名前のとおり、場所の記憶を司る。場所の記憶は動物にとって重要なため、長期記憶に保存されやすい性質を持っている。
[編集] 片手指法
5の項目を片手の指に対応させて覚える方法である。
- 左手小指 → 1
- 左手薬指 → 2
- 左手中指 → 3
- 左手人差し指 → 4
- 左手親指 → 5
[編集] 両手指法
10の項目を両手の指に対応させて覚える方法である。
- 左手小指 → 1
- 左手薬指 → 2
- 左手中指 → 3
- 左手人差し指 → 4
- 左手親指 → 5
- 右手親指 → 6
- 右手人差し指 → 7
- 右手中指 → 8
- 右手薬指 → 9
- 右手小指 → 10
[編集] 時計法
12の項目を時計の文字盤に対応させて覚える方法である。
- 1時 → 1
- 2時 → 2
- 3時 → 3
- 4時 → 4
- 5時 → 5
- 6時 → 6
- 7時 → 7
- 8時 → 8
- 9時 → 9
- 10時 → 10
- 11時 → 11
- 12時 → 12
[編集] 物語法
物語を考え、その話に記憶したい対象を登場させる方法である。記憶したい項目を時間的に配列する方法である。
[編集] 頭文字法
記憶したい対象の頭文字を取り出して覚える方法である。
[編集] 音韻法
数字をその数字と韻を踏む単語に置き換える方法である。
- 1 → one → sun,fun,gun,nun
- 2 → two → shoe,Jew
- 3 → three → tree,bee,key,tea
- 4 → four → door,core
- 5 → five → live
- 6 → six → sticks
- 7 → seven → heaven
- 8 → eight → gate,date,fate,mate
- 9 → nine → line,sign,pine,wine
- 10 → ten → pen,men,hen
[編集] 形態法
数字をその数字に似た形に置き換える方法である。
- 1 → 鉛筆、煙突
- 2 → アヒル
- 3 → 耳
- 4 → ヨット
- 5 → 鍵
- 6 → さくらんぼ
- 7 → がけ、鎌
- 8 → だるま
- 9 → オタマジャクシ
- 0 → 卵
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 関連書籍
- 『記憶術』フランシス・イエイツ 青木 信義 、 篠崎 実 、 玉泉 八州男 、 井出 新、 野崎 睦美 ISBN 4-89176-252-7
- 『記憶術と書物 中世ヨーロッパの情報文化』メアリー・カラザース 別宮貞徳訳 ISBN 4-87502-288-3
- 『 記憶術のススメ 近代日本と立身出世』岩井洋 青弓社 ISBN 4-7872-3132-4