肺水腫
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肺水腫(はいすいしゅ、pulmonary edema)とは、肺の実質(気管支、肺胞)に水分が染みだして溜まった状態をいう。溜まった水分により呼吸が障害され、呼吸不全に陥る。
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[編集] 概要
肺にはガス交換のための毛細血管が無数に走っている。毛細血管には元々小さな穴が開いており、血液中の水分(血漿)が血管外に染みだして灌流することにより、周囲の細胞に酸素や栄養分を補給し、老廃物を回収している。正常な状態では染み出す量と戻る量はつり合っているが、何らかの原因でバランスが崩れて染み出す量が上回ると、細胞のまわりは水浸しになり、やがて肺胞や気管支に水が溜まっていく。この状態が肺水腫である。
[編集] 原因
肺水腫になるメカニズムは3つ考えられる。
- 血管内圧の上昇
- 毛細血管の内圧が上昇して、水分が外に押し出される状態。左心不全や僧帽弁狭窄症などが原因となる。
- 血漿膠質浸透圧の低下
- 血管透過性の亢進
- 血管壁が水分を通しやすくなり、血管外へ漏出する状態。重症肺炎などが原因となる。
[編集] 症状
[編集] 検査所見
- 聴診 - 肺野全体に水泡性ラ音が聴取される。
- 胸部単純X線撮影 - 肺野全体の透過性が低下し、真っ白になる。肺葉間に水分が溜まり、vanishing tumorと呼ばれる腫瘤影がみられる。心不全を合併する場合は心陰影の拡大がみられる。
[編集] 治療
原因疾患の治療とともに、肺に溜まった水を引く治療が必要である。
- 酸素投与 - 呼吸不全の対症療法。
- 利尿薬 - 体内の水分を尿として強制的に出すことにより、肺から水を引き出す。
- 強心薬 - 心不全を改善する。
[編集] 関連項目
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