聖刻1092
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聖刻1092(せいこく1092、またはワース1092)は、千葉暁のファンタジー・ロボット小説シリーズ。ソノラマ文庫より刊行。
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[編集] 聖刻の地【アハーン】
- この聖刻を統べる大地を人は【アハーン】と呼ぶ。アハーンとは古の言葉で『二人の神』或いは『分かれた言葉、力』と言う意を表し大陸の歴史的、文化的状況を窺わせる。ここには二つのまるで異なる文化圏が存在する。大陸の東端には神秘主義が濃い【東方】文化が、西端には唯文化的な【西方】文化がある。そして両文化圏の間には、いずれにも属さない【中原】が広がる。東西二つの文化圏は【交易路(カグラ)】なる道によって結ばれていた。
- 【交易路(カグラ)】は、同時に『神の足跡』なる意を持つ。この幾千幾万にもの長き道は、中原において東西文化癒合をもたらすと共に、太古の昔より今に至るまで、果てる事のない戦乱を生んだ。それはまた、全ては【聖刻(ワース)】の計らいによるものだとする考えもある。
- 【聖刻(ワース)】とはいかなる存在か?聖刻は、天と地あらゆる事情を司る力にして意思とされ、しばしば運命と同義の言葉として語られる。目に見えるものしか信じない西の民人ですら、この神秘の力を否定できる者はいない。聖刻は、神が大地に刻みし聖なる印なれど、その力を体現するには【聖刻石】なる石を要する。
- この石から導き出される奇跡の技を【錬法】と称し、東方では【聖刻教会】なる組織が確固たる学問、技術として研究を重ねている。そして、【錬法師】なる異能の人々が、失われた真の知恵を求めて、闇の世界を徘徊する。
- 聖刻石も錬法も、民人が知る存在ではない。錬法師は、それを神の知恵としており、市井の目に触れ、普遍化することを恐れている。その一方で、目に見える形として存在する聖刻がある。
- それを【操兵】(リュード)と言う。
- 操兵とは、古の技を持って生み出された巨人で、大陸全土に広がる神話によれば、かつて人と同じ心を持ち、神の代行者として民を統べる存在であったと言う。しかし、造物主は、その巨大な力を恐れ、魂を奪い去った。そして今日では、人が乗らねば動かぬ武具に成り果てた・・・・・
- アハーンにおいて操兵を生み出す技は、東方の聖刻教会と西方の工呪会だけが伝える。
- 数多の諸国は、競って聖刻の巨人を求め、新たな戦雲が巻き起こる。
[編集] 中原とは…
- アハーンの中央に位置し、風神が草原を駆け抜け砂漠の砂を巻き上げる広大な地域を、人々は【中原】と呼ぶ。東をカーランカ大山脈、西をアビレス大森林に隔てられ、北には人跡未踏の氷雪地帯が横たわる。
- 東方や西方から辺境と呼ばれるこの地域は、その殆んどが荒野か草原で、渇いた砂漠が行く手を阻み、峻険な山脈が厳然と立ちはだかる。
- そして、ささやかな農耕地を砂嵐が奪い去る。あるいは全くの不毛の地と見る者もいるだろう。しかし、この地にも民人が暮らし、子を産み育てている。いまだ開墾されてない地も多く、旱魃と天災とも無縁なわけではないが、草原には遊牧民の蹄の音が高らかに響き渡り、荒野の集落からは、秋の実りを感謝する祈りと宴のさざめきが聞こえてくる。
- その一方で、交易路周辺には、野望と術策が渦巻く。東西交流の要所たる中原には、東方、西方の思惑が複雑に絡み合う。【聖刻教会】と【工呪会】は、綿密に、あるいは恣意的に中原に介入し、望む者も臨まぬ者も、戦いに巻き込まれていく。
- ここにもまた、【操兵】が跳梁し、【錬法師】が跋扈する聖刻の地なのである。中原には常に人の、或いは【聖刻】の思惑によって翻弄されている。
[編集] 交易路の歴史と文化
- アハーンには、大陸を横断する遠大な道がある。この道は人々から【交易路】(カグラ)と呼ばれている。
- 交易路とは『神の足跡』と言う意味を持って語り継がれており、各国で独自に設けられた数々の支線も含めるとアハーン全土に縦横に張り巡らされている。さらに、大陸の南岸を迂回して進む海の交易路も存在するが、使用される頻度は少ない。
- この道の幹線は、西方南部域からアレビス大森林の南端を抜け、中元南部を通り、さらにカーランカ大山脈南端を過ぎ、当方の中心に抜ける。踏破するには10年~15年の歳月を要する。
- この無知には道標があり、交易路からいつ設けられたのか推測がすることが出来る。道標は、百数十年前にミナル人が設けた。現在の地理に即したものと、中元暦以前に設けられた思しきものの二種類がある。後者は《白亜の塔》と同じ材質である上に、聖刻文字が刻印され、まったく風化していない。だが、その内容は現在の地理とかなり食い違っている。
- 交易路の途中には、おおむね15~6リー(1リー=4キロ)おきに宿場町があり、大体4~50リーおき、特に難所の手前には、操兵の整備が可能な規模の街がある。各国の王都も特徴的で、商業街が隣接する交易都市であったり、外的の襲来を防ぐ為の高い壁や堀で囲った城塞都市であったりする。ほとんどの都市はその国の経済的な拠点となっており、数々の店が立ち並ぶ市場は常に多くの人で賑わう。
[編集] 関連小説
[編集] 関連コミック
- コミック聖刻群龍伝 (中央公論新社) - 原作。作画は藤井英俊。
[編集] テーブルトークRPG
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