火打石
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岩石の一種である火打石は燧石を参照
火打石(ひうちいし)とは、叩きあわせて火花を発することによって点火することに用いる硬質の石、またその石を加工した点火器具。現代では英語名のフリントが使われる場合も多い。
材質としては石英などが用いられる。
点火器具としては石同士を打ち合わせることもあるが、着火効率を高めるため、一方を火打石、他方を鋼として作ることが多い。
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[編集] 切り火
日本の時代劇の一シーンで火打ち石を打つのをよくみかけるが、これは鳶職や左官など屋外で危険な職業に就く者の災難厄除けのために行ったものであるといわれる。すなわち、古来からの火が清浄なものとする考え方から、火打石で火花を起こすことを切火(きりび)を切るともいい、身を清めるまじないや、火が魔除けになるという信仰的な(お祓い)としての意味である。ただし、樋口清之(國學院大學名誉教授)は、切り火の習慣が定着したのは明治時代に入りマッチの普及で需要が落ち始めた火打石業者が宣伝用に外出時の切り火を考え出したもので、時代考証上から見て岡っ引きの切り火は不自然だとしている。一方、全国各地の鳶職や花柳界では、切り火が頻繁に行われていたこともあり江戸期まで遡れるとする説もある。
[編集] フリント(発火石)
ライター用の発火石は、1906年、オーストリアのカール・ヴェルスバッハ(Carl Auer von Welsbach)によって発明された。マグネシウムとセリウムの合金である。これをこすると合金がけずれる。マグネシウムは発火しやすい性質があり、強くこするとけすれた発火石の破片が摩擦熱で発火する。この種火は一瞬で燃え尽きてしまうので、燃え尽きる前にガソリンなどに引火させることにより、ライターとして使用する。