水先人
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水先人(みずさきにん、PILOT)とは、多数の船舶が行き交う港や海峡、内海において、それらの環境に精通することが困難な外航船の船長を補助し、船舶を安全に効率的に導く専門家のことをいい、水先人免許(国家資格)が必要。
現在、日本には水先人が港域や水域を案内する水先区が39ヶ所ある。中には強制水先区と呼ばれる、一定の大きさ以上の船舶には水先人の乗船を義務付ける水先区もある。
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[編集] 試験
- 一次試験は5月中旬~6月上旬頃の2日間、東京都で行われる。二次試験は11月から翌年1月までの指定された日に地方運輸局所在地で行われる。
[編集] 試験科目
- 一次試験(筆記)
- 身体検査
- 海上事故予防法規、海上交通安全法、操船知識、気象知識、港湾知識
- 二次試験(口述)
- 気象・海象知識
- 水深、距離、障害物、航路標識等の知識
- 操船知識
- 国際通信信号知識
- 条例、規則
- 英会話
- 一次試験範囲の応用問題
[編集] 水先人資格の取得要件
- 船長として総トン数3,000トン以上の船舶への3年以上の乗船経験があること。
- 一般的法規や操船技術に関する国家試験(一次試験)に合格すること。
- 一次試験合格後、水先人になろうとする水先区での実習を受けること。
- その水先区に関する国家試験(二次試験)に合格すること。
- 合格者は、国土交通大臣より水先人免許が交付される。
- 水先人免許は5年ごとに更新しなくてはならない。
[編集] 水先人の業務・分類
- ベイパイロット(Bay PILOT)
- 海峡や内海の水域を通って船舶を港の入口付近まで操縦する航行業務を行う。
- ハーバーパイロット(Harbor PILOT)
- 港の入口付近から港内の岸壁まで船舶を操縦する港内業務を行う。
かつては、水先艇による船舶の誘導を行い、水先人が直接乗船して案内をしないこともあり、「水先案内人」と呼ばれたこともあったが、現在この方法での誘導は行われておらず、水先人は直接船舶へ乗船し、水先人は船長に港や海峡、内海の情報が書かれた「水先情報カード」を手渡し、船長から水先人へ船舶の載荷状態,推進器・操船機器に関する情報などが書かれた「パイロットカード」を手渡すことで互いの意思疎通を図り、GPSなどを用いて地上と連絡を取りながら船長を補助し、船舶を目的の場所まで安全に誘導することが業務である。