末摘花 (源氏物語)
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末摘花(すえつむはな)とは源氏物語に登場する女性の通称。不美人でありながらも生涯源氏と関り続けた女性の一人
[編集] 境遇
常陸宮と呼ばれるれっきとした皇族の一人娘だが、後ろ盾である父親を早くに亡くし困窮していた。僧侶となった兄と国守に嫁いだ叔母がいるが、経済的な援助は見込めず、あばら家となった屋敷で年老いた女房たちと暮らしている。
[編集] 生涯
古風な宮家の姫として育つが、早くに父親に先立たれて零落してしまう。「零落した悲劇の皇女」と言う噂に誘われた源氏は、親友の頭の中将と競うように求愛し、末摘花と結ばれる。予想を裏切る彼女の醜い姿に仰天した源氏だが、あまりの困窮ぶりに同情して援助を行うようになる。しかし、幸せな生活も長くは続かず源氏は彼女を残して西国へ下った。
再び困窮した末摘花の元からは、使用人も去っていき諸道具も売り払われたが、彼女一人は源氏を一途に思い続け、源氏が帰ってきたにもかかわらず彼女を忘れていても、ひたすらに待ち続けた。他の女性の家に向かう途中、軽い気持ちで彼女の屋敷に立ち寄った源氏は、困窮の中でも一途に自分を信じ続けた末摘花に心打たれ、後に二条の屋敷に引き取ることになる。
[編集] 人物
極端に古風な教育を受け、頑固で一途、純真そのものの深窓の令嬢。美男美女ぞろいの源氏物語の中で異色の不美人である。「髪は素晴らしいが、座高が高く、やせ細っていて顔は青白い、中でも鼻が大きく垂れ下がってゾウのよう、その先は赤くなっているのが酷い有様」と酷評されている。
また、教養もあるのだが万事が万事滑稽なまでに古風で堅苦しく、事あるごとに世間知らずを露呈して嘲笑されている。このように一見家柄以外に取柄のない彼女だが、頑迷さは純真な心の裏返しであり、数多の恋人たちではなく、源氏の妻の一人として晩年を共に過したことは忘れてはならない。