恋の街東京
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『恋の街東京』(こいのまちとうきょう)は日本の漫画家赤星たみこ作の漫画である。週間漫画アクション(双葉社)に連載。1989年単行本が全2巻で出版される。バブル景気最盛期の漫画で、作品はそうした世相の中で生きていく主人公を描いてゆく。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 物語
主人公、山田三起子(やまだみきこ、23歳)は、宮崎県の田舎(山奥郡山奥町(架空))出身で、現在は東京の青山の極小さな事務所でOL(オーエル)をしている。彼女は田舎出身であることに極度の劣等感を持ち、東京に代表される都会的なものに強い憧れと嫉妬を持っている。広尾生まれの友人に嫉妬し、代官山に嫁いだ友人を羨ましがり、原宿の無機質な雑踏の中に心の平安を感じ、そうしたお「洒落スポット」で友人達と夜遊びし東京の「都会」を心底楽しむ。都会の排気ガスの香りを喜び、外人や欧米在住の日本人を崇拝し、自動車は例えベンツでも「大宮」ナンバーだと乗れない・・・など徹底的な俗物である。「エムザ有明」などバブル時期に刹那的に現れた娯楽施設も物語の舞台とされる。彼女は美人で、恋の出会いはあるのだが、こうした劣等感ゆえ、恋は紆余曲折を経る。彼女の友達も、他人の不幸は蜜の味と感じる手合いで、類は友を呼ぶといったところだが、これがまた問題を複雑にする。最終的に彼女は好みの男性と結婚し、田舎へ帰り、田舎に東京の軽薄な文化を持ち込み、村おこしをし成功する。結局、彼女は一生軽薄な俗物として生き、幸福になる。
俗物を俗物として真正面から描いた珍品。