巨石人頭像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
巨石人頭像(きょせきじんとうぞう;Colossal Head) とは、メキシコ湾岸のオルメカ文化の遺跡に見られるネグロイド的風貌の人物の頭部を表現した巨大な石像のことをいう。材質は、玄武岩で、サン=ロレンソの北方80kmのトウシュトラ山塊から切り出して運ばれてきたと推察される。巨石人頭像は、最小のもので高さ147cmで、最大のものでは340cmに達するが、大きさは、概ね2.8mから3mくらいである。ベラクルス州、サン=ロレンソ(San Lorenzo)で10個体、トレス=サポーテス(Tres Zapotes)で2個体、タバスコ州、ラ=べンタ(La Venta)で4個体確認されているほか、ベラクルス州のCobataで1個体確認されている。 以前は、その風貌からアフリカとの交流説もあったが現在では受け入れられていない。頭の「ヘルメット」と呼ばれる浮き彫り文様が他の石碑や石彫などとの類似点が見られ、オルメカの歴代君主の肖像ではないか、という説が現在では有力になっている。ラ=ヴェンタで巨石人頭が少ないのは、全盛期である800B.C.~500B.C.でも後半に当たる時期に巨石人頭像をつくる習慣が廃れて、平面的な石彫をつくる習慣が生まれたと考えられている。またCobataのものは、目と口を閉じているという特徴があり、他の遺跡のものと性格が異なっている可能性がある。