取り付け騒ぎ
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取り付け騒ぎ(とりつけさわぎ)とは、特定の金融機関や金融制度に対する信用不安などから、預金の取戻しを図る(=取り付け)預金者が一時に店頭に殺到し、混乱をきたすこと。取り付け騒ぎが起こった金融機関では、窓口での対応や多額の預金払戻しによって、業務が停滞する。加えて、預金高の減少で経営が立ちゆかなくなり、経営危機に陥ったり破綻に至る事もある。
1997年に騒ぎのあった足利銀行は、当該騒ぎとは無関係に、2003年11月29日に特別危機管理銀行の認定を受けるに至ったが(預金は全額保護)、「経営破綻する」というデマや、不確実な情報が引き金となることが多い。現に2003年12月には、「佐賀銀行が倒産する」という事実無根のチェーンメールによって騒ぎが引き起こされた。実際に民間金融機関が破綻した場合は、預金保険法の定めにより預金の保護、ならびに保護額を超える預金についての支払い額減殺が行われることが想定されるが、実際の各銀行等の経営状態にかかわらず、デマによって混乱に陥ることがある。当時の大蔵省が、社会不安を煽ってはならないとして、この言葉の使用を禁じたことから、1995年8月の木津信用組合破綻時には、報道機関が「取り付け騒ぎ」という言葉を使わずに預金者が殺到した状況を伝えていたと大前研一と井沢元彦が指摘している。
[編集] 有名な取り付け騒ぎ
- 金融恐慌
- 1927年、大蔵大臣の失言により、全国各地で「銀行が危ない」という噂が広がり、取り付け騒ぎに。
- 豊川信用金庫事件
- 木津信用組合
- 1995年、預金者が預金払戻を求めて殺到した様が「取り付け騒ぎ」の語を用いずに報道される。最終的には破綻。
- 佐賀銀行倒産メール事件
- 2003年12月、20代の女が知人に「佐賀銀行が26日に倒産する」という事実無根のメールを出し、それがチェーンメール化。デマが広がって取り付け騒ぎとなる。