体制内改革
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体制内改革(たいせいないかいかく)とは、体制そのものは変革せずに、体制の短所を是正しようとするもの。
旧ソ連のペレストロイカは、当初は、体制内改革だと思われていた。つまり、選挙制度を、共産党が選んだ単一候補の信任投票から、共産党が候補を絞り込んだ上での複数候補制に改める、あるいは独立採算制を拡大するなど、である。ペレストロイカが、体制内改革の壁を破ったのは、周知の事実である。
日本の敗戦権力は、GHQから憲法改正を求められながらも、天皇機関説を採用すればいい、つまり天皇主権の体制内改革を考えていた。松本試案が日本政府の意思であり、体制内改革を不満とするGHQが国民主権を謳う体制改革の改憲草案を持ち込み、ほぼこれが現行憲法になった。
イスラム原理主義国家イランの国会は、保守派と改革派に分かれる。しかし、改革派と言えども、イスラム法学者による統治には反対しておらず、あくまで体制内改革を進める方針である。政教分離、つまり体制改革を求めるイラン自由戦線は、選挙から締め出されたままである。
現代の日本で、小泉改革に不安を感じながらも、小泉改革を支持する国民は依然として多い。しかし、小泉改革が、バブル崩壊後の日本資本主義の再建を目指すものである以上、体制内改革と言えるだろう。自由民主党離党組が多い民主党の政権になっても、体制内改革の域を出ないと思われる。