ホスピタリズム
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ホスピタリズム(Hospitalism)とは、乳幼児が生後まもなく、長期に渡って親から離され施設に入所した場合にでてくる情緒的な障害や身体的な発育の遅れなどを総称して言うもので、施設病ということもある。実の母親相手のような、甘えや愛情の欲求が、施設の介護者に対しては、相手が勤務のローテーションで変わって行くために、そのを示す相手も定まらず、また職員は愛着行動の対象としてはなりにくく、愛情も独占できないために、次第に感情、情緒の表現を抑えるようになり、無関心、無感動、無表情になっていく。また愛着行動の延長線で習得されていく語彙数や言語表現、コミュニケーション能力などの発達もかなりの遅れを呈するようになってくる。
もちろん、これにはジョン・ボウルビィらのいうような、母性的養育の剥奪といったメンタルな部分も働いていて、一概にホスピタリズムがすべての原因というわけにもいかない。しかし、乳幼児の健全な成長にとって乳幼児期の親子関係、特に母親との接触がかけがえのない程、重要であるというものであるということは明らかである。
[編集] 関連項目
- 乳幼児
- 分離不安
- 対象喪失