フェルディナント・ホドラー
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フェルディナント・ホドラー(Ferdinand Hodler、1853年3月14日 - 1918年5月19日)は、スイスの画家。グスタフ・クリムトと並んで世紀末芸術の巨匠。
[編集] 生涯
ホドラーは、1853年にスイスの首都ベルンで貧しい家庭の子として生まれた。両親兄弟を結核などの病気で相次いで失い、貧困を極めていた幼少のホドラー自身が兄弟と母親の死体を荷車で貧窮院から運んだと回想録で語っている。これら幼少期の体験が、彼の感性に「死」という存在を深く植えつけた。
看板職人や観光客相手に絵を売って生計をたてていたが、才能を見出されジュネーヴの美術学校に入り基礎を学んだ後スペインに渡り、マドリード周辺の風景やスペインの女性を描き明るい色彩と力強い画風を身に付ける。
代表作となる『夜』(1889年)が注目を集め、象徴主義の画家として脚光を浴びる。『夜』の中央に描かれる男は何か黒い物体を押しのけようとしているが、これは若き日のホドラー自身を描いた自画像といわれている。
50歳を過ぎて画家として認められたホドラーは、20歳も若いヴァランティーヌ・ゴデ=ダレルと情熱的な恋に落ち彼女との間に一女をもうけるが、ヴァランティーヌも癌により40歳で亡くなる。
晩年のホドラーはヴァランティーヌと自画像しか描かなくなり、病に伏していた1918年にジュネーブで死去。享年65。
[編集] 作風
19世紀末の時代を象徴した画家の一人で、苦難に満ちた人生を生きたホドラーの作品には「死」や「夜」をテーマとしたものが多い。 その一方で、女性を描いた肖像画やスイスの風景画などの写実的な作品も多数残している。