ピーターパン症候群 (漫画)
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『ピーターパン症候群』(ピーターパンシンドローム)とは酒井まゆによって描かれた少女漫画。集英社の漫画雑誌「りぼん」2005年2月号から同年10月号にかけて連載された。単行本はりぼんマスコットコミックスから全2巻。なお、タイトルロゴデザイン上は『ピーターパン♠症候群』と、スペードが入る。
超能力というファンタジー的なものを扱った作品であるが、ストーリーが進むにつれて、超能力の恐ろしさや超能力者を収容研究している「研究所」の存在、琥珀の誕生の秘密などSF的な面を見せるようになる。
全9話という短い話数で終了した。琥珀が夜しか能力が使えない謎・透子が転校してきた「本当の目的」など多くの伏線を残していることや、単行本にて作者が「もう少し描きたかった」などの発言をしていることから、打ち切りによる終了であったと推測される。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 題名の意味
大人げなく子供じみた行動をとり、成長する事を拒絶する状態。
主人公、琥珀の体質(遺伝子操作の為、超能力を身につけている代わりに二次性徴も訪れず、大人になれない)を暗示している。
[編集] ストーリー
14歳の少女、蓮見琥珀は、家を出た母親を捜して町に引っ越してきた。
琥珀には不思議な力があった。彼女は太陽が隠れている間(夜中や雨・雪の日)だけ、超能力で空を飛ぶ事ができるのだ。(物を浮かせることもできる)
引っ越してきたその日の夜中、母を捜す為に空を飛ぶ琥珀は不意に携帯電話を高層マンションのベランダの上に落としてしまった。そのマンションには、後に彼女の友達となる橘夕露が住んでいた。
親の過大な期待で夢を失い、後ろ向きであった夕露はその琥珀の力で教室の窓から落ちそうになった所を救われ、琥珀の母親探しを協力する事になった。
だが、琥珀には彼女自身も知らない誕生の秘密があった。それは姿を消した母に関わる事だったのだ。
[編集] 主な登場人物
- 蓮見琥珀(はすみ こはく)
- 14歳の少女。太陽が隠れている間(夜中や雨・雪の日)だけ空を飛ぶ・物を浮かすなどの超能力を使うことが出来る。幼い頃からその超能力ゆえに引越しを繰り返しており、今回「母親がいる」という街に引っ越してきた。能力の代償として、ある程度で体の成長を止められてしまっているため、やや幼めの外見をしている。基本的に天然で楽天的、そして前向きな性格。夕露に惹かれている。
- 橘夕露(たちばな ゆうろ)
- 父親が医者であり、自身も医者になるよう母親に強制されていた。ゆえにかなり無気力な少年だったが、琥珀と出会った事で生きる気力を与えられた。非常に頭が切れ、表面上は冷たく、日常的に憎まれ口を叩いたりもするが、決して冷血漢ではない。琥珀の能天気な性格に呆れつつも、彼女をやさしく見守っている。暁里とは双子。
- 橘暁里(たちばな あかり)
- 夕露の双子の弟。夕露とは正反対の、明るく友達の多い性格。琥珀と性格的に近いものがあり、夕露が琥珀に惹かれたのもその辺りが関わっている。夕露に「4年に1回位お前を尊敬する」と言われたことがある。
- 鏡透子(かがみ とおこ)
- 琥珀の友達。幼い頃から超能力を恐れられ、友人が居らず、研究所では琥珀より優れた超能力を誉められ(研究材料として優れていたからなのだが)それを心の支えにしていたようだ。久々に見つけた琥珀に自分にいない「友人」や「彼氏」がいる事に嫉妬し、その魅力で夕露を奪おうとした。実は成長したため能力が衰えつつあった。結局琥珀の友情に救われ、表舞台から姿を消す。
- 蓮見鈴(はすみ りん)
- 琥珀の父親。研究所の元所員。琥珀に超能力の事を口外しない様に常に言い聞かせる。
- 蓮見雫(はすみ しずく)
- 琥珀の母親。長い間消息不明だったが、実は死んでいた。「空を飛ぶ、物を浮かせる、人や動物に意識を移らせる」という3つの力がある。
- ウェンディ
- 琥珀のペットの黒猫。人間の言葉を話せる。背中に羽が生えており、空を飛ぶ事が出来る。琥珀の父親・鈴と琥珀の運命について語るなど、琥珀に対して強い思いを持っている。それは、母親が子供に対して持っている感情そのものであった。琥珀が自分の運命を知った後に「ある選択」をするように言う。実は、琥珀の母・雫の記憶などが刷り込まれていた。
[編集] 余談
琥珀とウェンディの、もうひとつの超能力のアイディアを読者から募集した事があった。その際に最優秀賞に選ばれたのが、琥珀は「雨上がりの後に、人が乗る事の出来る虹をかけられる」、ウェンディは「うかつにくしゃみをすると、火を吹いてしまう」というものだった。作品中に取り入れる構想もあったようだが、急遽終了が決まってしまった事で、第8話(最終回の1話前)の扉(それも一色刷)に採用されるにとどまってしまった。募集の際に酒井自身が出した例は「琥珀が目からビームを出し花を咲かせる」という、本編で使い様がない(幼い読者に対しての配慮だと思われる)ものであった。
アイディア募集という物は、作品の人気がそれなりにあって、その作品にそのアイディアを生かす余地がある、つまりその時点で終了は考えられていなかったと考えるのが普通である。この事実もまた、この作品が打ち切りにあったという推測を裏付ける根拠の一つになっている。
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