ネガティブ・オプション
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ネガティブ・オプションとは、注文がないにもかかわらず事業者が消費者に商品を送付した上で、売買契約の申込みを行ったり、事業者の言う条件の下で売買契約の成立を主張して代金を請求することをいう。「送りつけ商法」、「押しつけ販売」ともいう。
突然、商品が郵送され、「購入されない場合は、○日以内に返送して下さい。期限内に返送されない場合は、購入頂いたものとします。」といった文面が添えられているのが典型例である。また、事前にアンケートを配布し、その回答者に、後日、商品を送り付けてくることもある。
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[編集] 特定商取引法に基いた説明
この章では、特定商取引に関する法律(特定商取引法)に基いて、ネガティブ・オプションについて説明する。 また、説明中、平成16年11月4日付の各経済産業局長及び内閣府沖縄総合事務局長あて「特定商取引に関する法律等の施行について(通達)」を引用している部分がある。この通達は、本稿では単に「通達」と記す。
[編集] 事業者の商品返還請求権の消失
注文もなく勝手に送りつけられたり玄関先に勝手に置いてゆかれた商品について、次のいずれかの期間内に事業者が引き取りに来なかった場合、事業者はその商品の返還請求をすることができなくなる。
- 商品を受領した日から起算して14日を経過するまで
- 事業者に対して商品を引取り請求した場合は、請求日から起算して7日を経過するまで
商品の送付を受けた側は、上記の期間が経過するまでの間は商品をそのまま保管する義務と、期間内に事業者が引き取りに来たら返還する義務のみがある。この期間を過ぎたら、代金を支払う必要は無く、商品を自由に使用したり処分できるようになるのが原則である。
事業者に対して引き取り請求する義務はない(請求するかしないかは任意)。また、売買契約に応じたり、購入するしないの意思表示をしたり、商品を返送したり、返送料を負担するなどの義務は一切無い。
なお、所定期間内に商品を開封・使用したり、処分してしまうと、購入の意思があったものとされ、代金を支払う必要がある。これを避ける為には、事業者が返還請求の権利を失うまで、所定の期間は商品のパッケージに一切手を触れずに保管する必要がある。
但し、商品を送付された者のために商行為となる場合(送りつけられた者が事業者であり、その事業に関係した商品の場合など)は、上の原則は適用されない。このため、最近は一般消費者に対するものの他に法的保護の希薄な事業者を狙ってネガティブ・オプションを仕掛けてくる業者が存在する。その手口は狡猾で、かつ、少額訴訟制度を悪用し遠方の裁判所に提訴する。というような裁判制度を悪質に利用した取り立て行為を行うことも珍しくない。
[編集] 商品の「送付」について
「通達」では、商品の「送付」について、次のように説明している。
- 「送付」とは「ある場所又は人から他の場所又は人に物を送り届けること」であり、送り届ける手段は限定されない。したがって、例えば相手方の留守の間に商品を置いていった場合、相手方の了解なしに強引に商品を置いていった場合等通信手段によらないで販売業者が直接商品を送り届けたとしても本条の「送付」に該当することとなる。
- (なお、「通達」で「本条」としているのは、特定商取引法 第59条のことである。)