ドラムコー
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ドラムコーは、打楽器と金管楽器による演奏形態のひとつ。マーチングバンドの一形態とも言えるが、起源は軍隊における鼓隊や信号ラッパであり、マーチング活動を行う吹奏楽団(マーチングバンド)とは別の歴史を歩み、今日に至っている。
米軍の鼓隊に発祥することから、小隊の意味を持つコー(corps)と呼ばれる。太鼓は、徒歩による行軍の歩調を統一し、軍事力を誇示することを目的として軍隊に取り入れられた。また、信号ラッパは、無線等の通信設備の存在しない時代に、大規模化した軍隊に命令を伝達するための有効な手段であった。その後、訓練の一環として、また公式行事等における儀礼的な演奏を目的として発達してきた。現在では軍隊に留まらず、青少年の健全育成や、社会人の趣味としての音楽活動として世界中に普及し、その高い芸術性、テクニックに人気が集まっている。DCI(Drum Corps International:ドラムコーインターナショナル)と呼ばれる世界大会がある。
「ドラムコー」と称される編成も、厳密には
ドラム・コー 鼓隊
ドラム・アンド・ビューグル・コー ラッパ鼓隊
ドラム・アンド・ファイフ・コー 鼓笛隊
と区分されるべきであろう。だが今日では単に「ドラムコー」と呼ぶ場合、芸術的に著しい発展を遂げ、かつ、団体数が最も多く、競技会も盛んなドラム・アンド・ビューグル・コーを指すことが一般的になっている。
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[編集] 使用される楽器
[編集] 打楽器
バッテリーと呼ばれる打楽器。屋外で歩きながら演奏する事を目的として発展してきた。その後、マーチングバンドにも取り入れられ、現在では、ほぼ同じものが使用されるようになっている。
フロントピットと呼ばれるフロントアンサンブルで使われる主な打楽器。1970年代までは、鍵盤楽器やティンパニーも可搬式のものが用いられていたが、現在では固定された状態で使用される事が多く、管弦楽、吹奏楽で用いられるものと変わらない。
[編集] 管楽器
- ソプラノビューグル
- メロフォンビューグル
- バリトンビューグル
- ユーフォニウムビューグル
- コントラバスビューグル
[編集] ヴィジュアル・アンサンブル
今日的なドラム・アンド・ビューグル・コーは一般的に、カラーガード(color guard)と呼ばれる、フラッグやライフル、セイバー等の手具を使用して音楽を視覚的に表現するセクションを伴う。 2005年、セイバーに関して国内では銃刀法に触れる事が指摘され、代替の手具による演技が行われていた。 2006年3月、アルミニウム合金製のみ「模造刀剣類」の扱いとして一定の条件の元、所持使用が許可された。
[編集] 大会
[編集] DCI
DCI(Drum Corps International:ドラムコーインターナショナル)と呼ばれる組織により、ドラムコーの世界大会が行われている。DCIは青少年の健全育成を目的としており、競技会の参加に関しては21歳までという年齢制限がある。
[編集] DCJ Championship
DCJ(Drum Corps Japan:ドラムコージャパン)主催の日本国内大会がある。年齢制限は無いが、管楽器に関してはG基調でフロントベル仕様のビューグルという構成のみ参加が認められている。