カリブ族
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カリブ族(Caribs)とは南アメリカを原住地とするカリブ語系のインディオである。西インド諸島は小アンティル諸島の島嶼カリブ、中米カリブ海沿岸のブラック・カリブ、コロンビア、南アメリカのベネズエラ、ガイアナ、スリナム、仏領ギアナ、ブラジルに散在する大陸カリブの3つに区分される。
島嶼カリブ 小アンティル諸島に在住していた。コロンブスの到来の約100年前には南アメリカから小アンティル諸島を北上し、先住民のアラワク族を征服した。大アンティル諸島のタイノ族も襲っていたが、プエルトリコの東部を除き、定住していたかは不明である。アラワク族の男を殺して食べていたと言われ、コロンブスらスペイン人の報告で人食い人種と見られカニバリズムと言う言葉も出来た。好戦的だったがヨーロッパからの入植を防ぐため戦った。入植者達を困難にしたが、やがて殺されたり追い出されたりされ衰退しカリブ族の居住地は17世紀にはドミニカとセントビンセント島だけとなった。混血も進んだがドミニカのカリブ族には1903年には特定居留地に移され、1940年代にはカリブ族の人口は約500人になっていた。現在は200人から300人のカリブ族が居る。かつて、好戦的で人食い族として恐れられてたが現在は農業を営む、穏和な集団を築き、民主的に選ばれる独自の首長がいる。また熱心なカトリック信者でもあり、イギリス式の学校教育を受け、市場経済などの影響で急速なドミニカ化が進んでいる。
ブラック・カリブ セントビンセント島に居たカリブ族と、17~18世紀に奴隷としてアフリカから連れて来られた黒人との混血の子孫。中米の英領ホンジュラスことベリーズやグアテマラ、ホンジュラスなどの島嶼や沿岸部に住む。定住後の約100年間は他の民族、特に黒人系とは友好的だった。時代が経つにすれカリブ族の文化よりも西インド諸島の黒人文化との類似性が強まっている。
大陸カリブ 南アメリカに住む。数千人から1万人ほどのカリブ語族がいるといわれている。ドミニカ国や中米に住むカリブ族と比べると伝統的文化は比較的、保もられている。18世紀頃まではギアナ3国の密林奥地を中心に居住していたが、現在は沿岸部を中心に居住している。島嶼カリブと比べると移動性や好戦性は強くなく基本的に狩猟民で社会構造は単純である。