てこ
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てこ(梃子、梃)は、固い棒状のもので、大きなものを少ない力で動かすことが出来る、または、強い力を小さい力に変えることが出来るものである。 てこが使われなければ、大きな機械を使わなければならない場合もあり、簡単な原理でありながらとても大事な役割を果たしているものである。
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[編集] てこの例
てこには「力点、支点、作用点」があり、力点は力を加える場所、作用点は物を動かす部分、支点は、力点の力を大きくしたり、小さくしたりする部分である。支点の位置を固定し回転するようにしておき、力点を動かすことにより作用点を動かす。
- [第1種てこ]
- てこで大きな力を得る場合は、力点と作用点の間に支点を置く。力点を右側とした場合は、右から「力点、支点、作用点」の順になる。
大きい力が得られる ↑ ▼ 力点 ■===○=============□ 作用点 ▲ ↓小さい力を加える 支点 ↓
図の矢印は、力ではなく、点の移動する向きと距離を表わしている。
- [第2種てこ]
- 大きい力を使う場合はもうひとつのパターンもある。作用点を中心に置き、力点と支点が外側になる場合である。力点を右側に置いた場合は、右から「力点、作用点、支点」の順になる。
▼ 作用点 力点 ○===■=============□ ▲ ↓大きい力が得られる ↓小さい力を加える 支点 ↓
- [第3種てこ]
- 逆に、てこで小さい力を得る場合は、支点を力点と作用点の外側におき、力点に近い状態になる場所に、支点を置く。右側を作用点とした場合は、右から「作用点、力点、支点」の順になる。
▼ 力点 作用点 ○===□=============■ ▲ ↓大きい力を加える ↓小さい力が得られる 支点 ↓
大きなものを小さい力で動かす仕組みを使っているのが、くぎ抜き、洋はさみ等、二つ目の方法を使って力を大きくしているのが栓抜き等に使われる。小さい力を加えることが出来るものが、ピンセット等である。
図では説明のため力点、支点、作用点が一直線上にあるが、実際はその必要はない。くぎ抜きはそのよい例。
[編集] てこの原理
てこを使う上で重要なのは、支点、力点、作用点の位置関係、とくにその間隔である。てこで大きな力を得ようと思えば、なるべく支点から離れたところに力点を置く、あるいは支点のなるべく近くに作用点を置けばよい。小さい力を得たいときはその逆である。実験をすると支点-力点間の長さが支点-作用点の長さの二倍であれば、得られる力は加えた力の二倍になることがわかる。この関係は次のようにまとめられる。
- d1F1 = d2F2
- d1 : 支点と力点の間の距離
- F1 : 力点に加える力
- d2 : 支点と作用点の間の距離
- F2 : 作用点で得られる力
[編集] 歴史
古代ギリシアのアルキメデスは、てこを使用し各種発明をしている。伝説では「私に支点を与えよ。されば地球を動かしてみせよう」といったという。また古代の兵器カタパルト等、いろいろなものに使用されてきた。