Tu-134 (航空機)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Tu-134(ツポレフ134;ロシア語:Ту-134トゥー・ストー・トリーッツァチ・チトィーリェ)は、ソ連の航空機設計機関であったツポレフ設計局が開発した短中距離用のターボファン・ジェット双発旅客機である。NATOコードネームはクラスティー(Crusty)が割り当てられた。
目次 |
[編集] 概要
初飛行は1962年であり、世界的には初期のジェット旅客機である。この旅客機はエンジンを胴体後部に取り付けたリア・エンジン方式を採用しており、そのため外見上はフランスのカラベルやアメリカのダグラスDC-9に似ている。しかし初期に生産されたTu-134Aは機首部分がガラス風防という爆撃機のような形状をしており、またTu-124の改良型として開発されたため当初はTu-124Aと呼称していた。
後に量産された機体はレーダを装備した形状に改良されたが、生産された多くはガラス張りの機体であった。また胴体が細いためDC-9とほぼ同じ大きさでありながら乗客を100名以上乗せられる機体はない。1000機以上が生産されアエロフロート・ソ連航空だけでなく東欧の共産主義国などに多くが供与されたため、多くの共産主義国の国営航空会社の主力機種でもあった。また、一部は空軍などでも運用された。
現在では老朽化が進んでおり、また騒音に関して現在の環境基準はクリアできないこともあり、同時期の西側のジェット旅客機同様に退役が進んでいる。しかしながらロシア等旧ソ連圏では現在も多数が定期便で運用されている。これは後継機の導入が遅れているためである。これらの機体は各航空会社の主力機として奇麗に整備され日々飛行しているが、経年数を考えると運用限界は近づいていると言わざるを得ない。アエロフロート・ロシア航空からは以前運用していた機体の大半は退役した。その他、日本近隣では朝鮮民主主義人民共和国の高麗航空でも就航している。日本への飛行実績はほとんど無く、また環境基準に適合しないため現在では飛行自体が不可能である。
[編集] 派生タイプ一覧
- Tu-134 -最初はTu-124Aと呼称.ガラス風防付き、当初定員は64名であったが、のちに72名に増加。
- Tu-134A - エンジン系統を改良し、胴体を2.80m延長したもので定員は84名。
- Tu-134A-2 -ガラス風防を無くす。
- Tu-134A-3 - エンジンをソロヴィヨーフD-30に換装した主生産型。今日運用される機体はほぼすべてがこの型。
- Tu-134B - 定員を80名に増加。
- Tu-134B-1 -
- Tu-134B-3 - 定員を96名に増加。
- Tu-134BV - 特別試験機体。
- Tu-134LK - 訓練用機材。
- Tu-134UBL - Tu-160の乗員訓練用機材として開発。機種がTu-160同様のものになっている。
- Tu-134BSh - 航法士訓練機。
- Tu-134SKh
- Tu-135
Tu-134Bは胴体下部に増槽タンクがあるため膨らんでいるのがわかる。
[編集] スペック
- 初飛行: 1962年
- 全長: 37.1m
- 翼巾: 29.00m
- 全高: 9.00m
- 胴体直径: 2.90m
- 運航乗務員数: 3名
- エンジン: Soloviev D30 turbofans ターボファンエンジン×2
- 推力: 64.5 kN (14,490lb)
- 座席数: 72-84 (後期生産型は96)
- 巡航速度: 750 km/h
- 最大速度: 900 km/h
- 航続距離: 2500 km
[編集] 関連項目
カテゴリ: 旅客機 | ソ連・ロシアの航空機