QV-10
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QV-10はカシオ計算機が1994年11月14日に発表した民生向けデジタルカメラである。1995年3月10日より発売を開始した。コンパクト型のフルデジタルカメラは既に1988年に他社から登場していた。しかし、撮影画像をその場で確認できる背面の液晶パネルを世界で最初に用いたことは画期的であった。従来のアナログ記録方式である電子スチルビデオカメラとは異なり、液晶パネルを搭載してパソコンとの接続性を重視するなど、「撮ったその場で見られ、パソコンに取り込める」事をセールスポイントに市場に登場し、その後のデジタルカメラ市場を形成するきっかけと成った。また発売当時の定価が65,000円と低価格だったことも、ヒットの要因となった。
この製品の開発記はNHKのプロジェクトXでも取り上げられている。
1996年3月15日には改良版とも呼べるQV-10Aが発売された。QV-10のガンメタルから、シャンパンゴールドにボディカラーが変更されて女性が持っていても不思議ではない製品となった。画質にも若干改良が加えられており、こちらもロングセラーとなった。 1997年2月10日にはより低価格な後継機種としてQV-11が発売された。ボディカラーがシルバーになったこと以外に変更点は少ない。
[編集] 商品の特性
- 当時としては小型・軽量のコンパクトタイプのデジタルカメラ
- 1.8型のTFT液晶カラーモニターを搭載
- 撮像素子として、1/5インチCCD(総画素数25万画素)を採用。パソコンに取り込んだ後の画像サイズは320×240ドット
- 2MBのフラッシュメモリを内蔵し、96枚まで保存可能
- RS-232Cを経由してパソコンに取り込んで見ることができるとともに、パソコンとは双方向で画像データのやり取りが可能(パソコン取り込み用のソフト、ケーブルは別売り)
- ビデオ出力端子があり、テレビ画面に表示させることができる
- 4分割、9分割で複数の画像を一度に表示させることが可能
- モニター画面の拡大閲覧可能
- 不要な画面を簡単な操作で消去できる上、大事な写真を誤って消さないようにするためのプロテクト機能が付いていた
- セルフタイマー(スイッチを押してから10秒程度経ってから自動的に撮影できる)
- カメラレンズは回転機構により、自分の顔を写す事もできた
[編集] 欠点
- この商品には不満な点も多く指摘された。それらはQV-10以降のデジタルカメラの発展の方向性を決定付け、標準装備として徐々に取り入れられていった。
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- ズーム機能がない
- フラッシュがない
- 外部記録媒体(メディア)に保存する機能がない(PCへの取り込みは別売りのケーブル・連携ソフトが必要だった)
- 「電池を飲む」といわれたほど、電池寿命は劣悪の一言だった。(当時のアルカリ乾電池の性能も一つの要因で、ニッケル水素充電池を使用することで改善された)