MC/ServiceGuard
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MC/ServiceGuardとは、ヒューレットパッカード(HP)社のUNIX/Linux系高可用クラスターパッケージのこと。 現在の最新バージョンは11.18。先頭の11と言う数字は、HP-UXのバージョン数に合わせ付けられている。
商用UNIX系高可用クラスター構築実績において、IBM社のHACMPと同等の実績を持つ。
[編集] 実装・動作仕様
高可用クラスターとして、ハートビートパケットをノード間で送り合い、各ノード間の健常性を確認し合っている。クラスターに参加するノードにおいて、いずれか1台をマスターノードとして、クラスタ管理デーモンが動作する。このマスターノードの決定は、各ノードからのVoteによって決定される。2ノードクラスターを構成する場合、スプリットブレインシンドロームを回避するため、共有ディスク上のLVM管理領域をタイブレーカに使用し、サバイバルノードを決定する。
このロックディスク方式は非常に汎用性に富んでおり、SCSIエンクロージャやFCによるストレージ接続、iSCSIなどでの接続の場合でも有効である。また、メトロクラスター(都市間クラスター構成)やコンティネンタルクラスター(大陸間クラスター構成)をサポートするため、このタイブレーカ機能を拡張し、クォーラムサーバといわれる拡張タイブレーカもサポートされた。
一般にハートビートを通すインターコネクトはネットワークアダプタによる多重設定を推奨しており、TCP/IPにおけるソフトウェア的な単一障害点(SPOF)を回避するため、インターネットスーパーサーバ(inetd)を介して、TCP/IPの自己チェックを行う機能を有する。
また、EMSといわれるハードウェア資源/ソフトウェア資源の健常性や動作状況をチェックするDiag系フレームワークと連動する事により、他商用高可用パッケージよりも高度な健常性チェックやフェイルオーバ判断が可能となっており、多くのシステムでの実績を上げている。
各種パッケージをシェルにてラッピングするだけでクラスターに実装する事が可能なため、既存システムの高可用クラスター化において、比較的容易に対応できる。主に金融/証券系の基幹システムにおいて圧倒的なシェアを持つ。UNIX系のクラスターと言えば、一時期はMC/ServiceGuardで構成するものと語られた時期があった程。
[編集] セールス状況
証券及び金融系での人気により、国産ベンダのOEM化が進み、NEC/日立において相当数のライセンスがセールされている。 また、機能拡張の主軸も国産ベンダによる協力強化が進んでおり、HotStandby機能やノード間切り替えの高速化などのメイン機能に日立やNECのエンジニアによる強化も行われている。
一方、Linux系の高可用クラスターパッケージとしては、低調。 日本国内で見ると、商用UNIXでのリセラーであるNECが自社のClusterProを担いでいる事や日立もスチールアイテクノロジー社のLifeKeeperやClusterProをOEMにて扱っているため、リセラーによる販売が低い事も一因と思われる。