LaTeX
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LaTeX(ラテック、ラテフ、レイテック、ラテックス)とは、数式の処理を得意としていることを最大の特徴としている、テキストベースの組版処理システムである。数式を含む理科系の出版物・論文などでは標準的なフォーマットとして認められている。しかしながら現実にはガイドブックに記されているようにLaTeXの使用範囲が拡大しているわけではなく、今以て理数系の研究誌への投稿のフォーマットなどに留まっているのも現状である。
フォーマットの提唱者ドナルド・クヌースはTeXの拡張や第π版以降の開発を禁止しているので、将来的に行き詰まりになることが予想される。
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[編集] 「LaTeX」の読み方
LaTeXの生みの親レスリー・ランポートは、「LaTeX」の発音について、自著『LaTeX』の中で、" TeXは通常「テック(teck)」と発音されているので、「LaTeX」は「ラテック」や「レイテック」などと発音するのが妥当だが、「ラテックス」などと読んでも構わない" と述べている。日本では「ラテック」あるいは「ラテフ」と呼ばれることが多い。
[編集] 成立の背景と開発者
LaTeX以前に、「TeX」という名の数式の処理に優れる組版ソフトウェアがあり、そのTeXを使ってもっと簡単に論文やレポートを作成したいという要望があった。 LaTeXはその要望に応えて開発されたものであり、レスリー・ランポート(Leslie Lamport)が、TeX の上にマクロパッケージを組み込むことで構築したものである。さらにLaTeXは、TeXの難解な部分の修正も行っている。例えば、累乗根や分数の設定方法などである。
[編集] 動作環境と各種バージョン
現在、Windows、Mac OS X、UNIX、Linux、FreeBSD等、多くのOS上で利用できる。
現在使われてるバージョンには、LaTeX209 と LaTeX2ε(LaTeX2e)の2つがある。
尚、「pLaTeX2ε」は株式会社アスキー の登録商標であり「ピーラテックツーイー」と読むのが正しいとされている。また「LaTeX2ε」と表記することが困難な場合には「LaTeX2e」という表記が代用として用いられている。
[編集] 長所
例えば、Microsoft Word(ワープロソフトのひとつ)で数式を多用する文章を作成しようとすると、数式の部分は画像データで挿入していくことになり、ファイルのデータ量が大きくなってしまう欠点がある。LaTeXならばテキストベース(文字だけ)で入力するのでデータ量は非常に小さなもので済む。
[編集] 短所
文章の作成に複雑なコマンドの入力が必要とされることが短所である。この短所を補うような、面倒なコマンド入力をせずにワードの文章をTeXに変換する機能を搭載した製品も、サードパーティにより販売されている。 ただし、熟練すればコマンドの入力の方が複雑な数式でも速く入力することが可能になる.
[編集] 入力と出力の具体例
以下はLaTeX入力の例。
\documentclass[12pt]{article} \title{\LaTeX} \date{} \begin{document} \maketitle \LaTeX{} is a document preparation system for the \TeX{} typesetting program. It offers programmable desktop publishing features and extensive facilities for automating most aspects of typesetting and desktop publishing, including numbering and cross-referencing, tables and figures, page layout, bibliographies, and much more. \LaTeX{} was originally written in 1984 by Leslie Lamport and has become the dominant method for using \TeX; few people write in plain \TeX{} anymore. The current version is \LaTeXe. \newline % This is a comment, it is not shown in the final output. % The following shows a little of the typesetting power of LaTeX \begin{eqnarray} E &=& mc^2 \\ m &=& \frac{m_0}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}} \end{eqnarray} \end{document}
上記の入力が以下のようなLaTeX出力を生み出す。
以上、Online LaTeX に掲載されている例である。