InfiniBand
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InfiniBand(インフィニバンド)とは、非常に高いRAS(信頼性・可用性・保守性)を持つ基幹系・HPC系のサーバ/クラスター用高速I/Oバスアーキテクチャ及びインターコネクトのこと。システム間インターコネクト機構としては、RAS機能の他、他機構に比較して、低レイテンシーである点も特徴である。
[編集] 経緯/概要
1998年後半、基幹業務に使用される各種サーバは、ムーアの法則に従い、ほぼ18カ月に2倍のペースで高速化されてきていた。しかし、サーバ内のバスアーキテクチャは機械・電気的制限により、その進化に追い付けず、コンピュータシステム性能向上のボトルネックとなっていた。
そこで、Intelを中心にスイッチ型ファブリックインターコネクトテクノロジをベースとした新しいI/OアーキテクチャとしてNGIO(Next Generation I/O)が提唱され、規格定義を開始した。 一方、タンデム・コンピュータ社のServerNetの流れを汲むCompaq (HPに吸収合併)、HP社、IBM社の3社はNGIOに対抗すべく、全く同様の技術をサポートしたFIO(Future I/O)の提唱を行い、2つの陣営に別れて次世代バス規格の主導権を争い始めた。
ところが、1999年のIDF Spring 1999において、NGIOの情報が公開された際、FIOの仕様の一部が取り込まれており、最終的には両陣営が歩み寄り、SIO(System I/O)としてに統合されることとなった。
その後、1999年10月にInfiniBandに改称された。
2000年10月には、複数のベンダから構成された業界団体「InfiniBand Trade Association」により、 規格書が提出され、統一的な規格として成立した。 現時点の規格は、InfiniBand Architecture Specification Release 2.0。
当初本規格のリーダ的存在だったIntelが撤退を表明し、動向が注目されたが、その後HPC分野を中心に広く利用されるようになっている。
[編集] 現状
最近では多くのベンダのブレード系サーバやグリッド系サーバの接続に標準的に使用されている。例えば、日立(BladeSymphony)/NEC(シグマグリッド)/富士通(PrimeQuest)/IBM(BladeCenter)/DELLなどの基幹業務用サーバやIAサーバを用いたHPC(スーパーコンピュータ)としての構成を取る際、接続・搭載可能な機器が用意されており、IBMなどの一部ベンダではブレードサーバのフレームに収納されて提供されている。
また、日本において現時点で最も知られた使用例としては、サン・マイクロシステムズのサーバを使用してNECが構築した東京工業大学のグリッドコンピュータのTSUBAMEのインターコネクトに使用されたものだろう。