Cフォント
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Cフォントは、写研の組版機で使用されているフォントの形式。CはContour=輪郭を意味する。文字の輪郭をスプライン関数の情報として持ち、拡大してもきれいな文字が表示できる。
文字のランの差分を情報として持つ「Dフォント」の後継として作成された。
写植機にコンピュータが使われ始めて、文字がデジタル化しはじめても、それをそのまま版下に使うにはさまざまな無理があった。それは、その当時使われていたデジタルフォントが基本的にはビットマップフォントであったからである。それでも当初は高ドット数のフォントにより、本文用としては充分な精度が確保されてはいたが、手動写植機ならば自由自在に本文から見出しまで使えることから考えれば一種の後退とも言えた。
これに対してアウトラインフォントであるCフォントは、文字の輪郭をベクトルデータとして持っていることから、自由な拡大縮小が可能であった。
これを最初に搭載した組版機は、1985年に登場したサプトロン・ジミィ、およびサイバートHであった。後者は特に日本語組版環境にWYSIWYGを導入した先駆的な機体でもあった。
写研は文字に関して極めて閉鎖的な環境を構築しており、2000年に登場した組版システム「シンギス」は組版作業専用に仕上げられた日立マシンとWindows上で動くプログラムと言えるが、Cフォントはやはりこの中で使われている。ただしWindowsのフォントフォルダではなく写研独自のディレクトリに収められ、他のWindowsプログラムからはアクセスすることができない。