鼈甲
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鼈甲(べっこう)とは、南方の海に生息するタイマイ(ウミガメの一種)の背と腹の甲羅を10枚程度に剥がして造られる工芸品の材料である。色は半透明で、赤みを帯びた黄色に濃褐色の斑点がある。黄色の部分が多いほど価値が高い。現在では希少価値のほか、プラスチックとは異なる軽い質感を求めて鼈甲製品を購入する客層は多い。
なお、生薬、漢方でいう鼈甲は、タイマイではなくスッポンのものである。これは土鼈甲(とべっこう)ともいう。
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[編集] 加工品
加工し易いので工芸品や装飾品の材料として重用されてきた。古くは正倉院にも収められているほか、職人の技術が向上した江戸時代には眼鏡のフレーム(徳川家康の眼鏡が有名)、櫛、かんざし、帯留め、ブローチなどに加工された普及した。現在ではこうした装飾品の多くはプラスチック素材に変わったが、昔ながらの「べっ甲柄」を模していることが多い。手入れに関しては汗や整髪料には弱いので、眼鏡のフレームなどは空ぶきで磨く必要がある。
[編集] 加工業者
タイマイは、日本近海では採れず琉球、ルソン等からの輸入される高価な物であった。こうした背景から、日本の鼈甲加工業者の多くは輸入される窓口であった長崎市に存在する。現在はワシントン条約によってタイマイの貿易が禁止されている(日本では1992年限りで輸入禁止)が、業者の多くは禁止前に原料在庫を確保していたり端材を有効利用するなどで対応している。ただし、動物愛護などの高まりなどの影響から鼈甲製品の販売量は次第に減少傾向にあり、業者の転廃業は相次いでいる。なお、業者は条約の履行を確実なものとするため、原材料のストック量を通商産業省へ報告することが義務づけられている。
[編集] 鼈甲復活への模索
キューバでは、タイマイを食用として捕獲しており、国家管理下で数トンの鼈甲の原料をストックしている。このため、キューバは貿易を一定の管理下に置きながら認める議案をワシントン条約の締結国会議で議題として提出、2000年の会議では賛成国が過半数に達し、可決の条件である2/3までに4票差の僅差に迫る状況となった。しかし、2005年の会議ではキューバは方針を転換、議案を取り下げたため貿易再開の道は閉ざされた。
[編集] 英語の意味
英語の鼈甲(tortoiseshell)には、三毛(ネコ)の意味もある。