黒夢
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黒夢(くろゆめ)は、1994年2月に、『for dear』でメジャーデビューし、1999年1月に事実上解散した、ヴィジュアル系ロックバンド。「黒夢」とは「夢が無い」「夢は叶わない」という意味である。
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[編集] 概説
結成当時、ロック音楽といえば声を掠れさせて力強く歌う(初期のXやLUNA SEAのような)歌い方が主流であったが、ビブラートを効かせた繊細な声にファルセットやシャウトを効果的に取り入れる歌い方で人気を集め、ヴィジュアル系バンドの歌い方の主流を創った。また、楽曲やファッションなども、Dir en greyをはじめ後に出てくる多くの若手ヴィジュアル系バンドに多大な影響を与えた。
しかし、自身は後発組のバンドにスタイルを真似されるのが嫌で、途中からヴィジュアル系の路線から大きく方向転換する。アルバムをリリースする度に前作とは全く異なる曲調、構成をとり、常に変革していったバンドだと言える。一度は商業主義のポップス路線に進んだこともあり、後の歌で昔の自分を貶したりもした。またアルバム『FAKE STAR』以後によく見られた社会やレコード業界を痛烈に風刺した歌詞も人気だった(『FAKE STAR』に収録されている『BARTER』などで小室哲哉を風刺、批判しているのがわかる)。
[編集] 略歴
GARNETに居た、清春・人時らと、GERACEEに居た臣によって1991年に愛知県名古屋市で結成されたバンド。バンド名の『黒夢』とは黒夢結成前から持っていた『黒夢』という曲名による。当時ヴィジュアル系バンドではメンバー名にアルファベットを用いるのが主流だったが、メンバーの名前に漢字を用いるなど流行に逆らうスタイルは当初から持っていたものだと言える。
インディーズ時代は、主に中京圏を中心に活動しており、L'Arc~en~Cielなどの同世代のバンドと仲が良く、共演したこともある。またローディー(付き人)には後にデビューするDir en greyやLaputaのメンバーもいた。この時期NHKBSヤングバトルにも出場。 インディーズバンドとしては異例の渋谷公会堂でワンマンライブを行い成功させるなど、当時のインディーズヴィジュアル系バンドの中では別格の人気を誇っていた。また、首吊りなど過激なパフォーマンスで人気だったが、首吊り中に意識を失いライブが中断したことがある。
XのYOSHIKIのインディーズ・レーベル「エクスタシーレコード」から誘いを受け、一度はこれを受けるが、エクスタシーレコードから誘いを受けた同じ週にソニーと東芝からメジャーデビューの話がきて東芝よりデビューする道を選ぶ。
初期のメンバーは、
であったが、途中でドラムの鋭葵が脱退。93年7月、HIROが加入(ジャズを得意とするDr・元スタークラブ)するが、3ヶ月後に脱退。その後、松山一志がサポートとして参加。上記3人でメジャーデビューしている。インディーズ時代にはミニアルバム2枚とアルバム1枚を出している。
1995年2月15日にギタリストの臣が脱退。この時もメンバー補充せず、2人で活動を続ける。2人組になったことで「ユニット」と紹介されることもあったが、「人数が何人でも自分達はあくまでもバンド」と主張し続けた。ちなみに、臣がレコーディングに参加した最後の曲はアルバム『feminism』に収録されている『優しい悲劇』のギターソロの部分である。ちなみに臣はアルバム『feminism』レコーディング途中に失踪し脱退したと言われている。臣(鈴木新)は、その後、福井祥史(元D'ERLANGER、STRAWBERRY FIELDSのヴォーカル)と1997年11月にVINYLというユニットを結成するが、1999年以降は活動が途絶えていた。その後、人時と共にSUPER DROP BABIESというバンドを結成し、現在も活動中。
バンドのあるべき姿はライブであるとして、アルバム『FAKE STAR』発売の頃からテレビ出演を殆ど断り、ライブ活動を積極的に行う。特に1997年から1998年にかけて約230本という異例な数のライブをこなした。その頃から「渋谷パンク」とも称されるパンク調の曲を演奏するようになり男性ファンを増やした(男性ファン限定のライブも敢行)。また、その頃の黒夢のライブではシングル曲は『Like @ Angel』や『少年』を除いて殆ど歌わなかった。清春自身がシングル曲は売れる為のJ-POPとして位置付けており、あまり好きではなかったようである。最後のシングル「MARIA」発売時のTVインタビューで「カラオケで歌うな!」と言い切るなど、カラオケについても批判的であった。その象徴として「MARIA」のシングル盤には歌詞カードが存在しない(但し、「MARIA」を含めてシングルは全曲、アルバム収録曲も多数カラオケで配信されている)。
多数のライブ、長く続くツアーに人時とその家族は心を痛め、事務所と清春に脱退を直訴する。それを受けて、1999年1月に無期限の活動停止(事実上の解散)。人時はHysteric Blue(2003年6月17日活動停止)のサポートをやりつつ、独自のプロジェクトを立ち上げている。
その後、清春はSADSで活動し、2003年10月からソロ活動に入った。
首吊りや棺桶から登場するなどのステージパフォーマンスは清春が一時期リスペクトしていた「オート・モッド」(その中心メンバー・ジュネ)の影響から行うようになったものである。しばらくはプライベートでもジュネと交流があったようで、ステージではオート・モッドの曲をカバーして共に歌うこともあった。インディーズ時代からの重要なスタッフがドラッグで逮捕された際には警視庁から取り調べを受けている。この時逮捕されたスタッフは後に「僕が黒夢に唯一貢献できたのが逮捕されたこと」と清春に語っている。(もちろん黒夢にいい意味で危険なイメージを持たせたと言う意味である)
ライブは『FAKE STAR』を1曲目に始まり、アルバム曲を中心に演奏、最後に『Like @ Angel』で締めくくられるというパターンが多かった。演奏される曲はテンポが速く激しい曲調で、セックスやドラッグを扱った過激な歌詞のものも多かった。
[編集] ディスコグラフィー
[編集] インディーズ
[編集] デモテープ
- 黒夢 (1991.8.29/ミュージックファームにて販売)
- 生きていた中絶児 (1992.1.25/ミュージックファームにて販売)
[編集] シングル
- 中絶 (1992.7.20発売)
[編集] アルバム
- 生きていた中絶児 (1992.12.2発売)
- 亡骸を… (1993.6.11発売)
[編集] ビデオ
- UNDER(1992.10.31/新宿LOFTにて無料配布)
- NEO UNDER(1993.9.5発売。直後に発売中止、回収となる)
- DEEP UNDER(1993.12.20発売)
[編集] メジャー
[編集] シングル
- for dear (1994.2.9発売)
c/w &Die
- ICE MY LIFE (1994.7.20発売/テレビ朝日「mew」OP)
c/w S・A・D
- 優しい悲劇 (1995.3.8発売/テレビ朝日「mew」OP)
c/w gossip
- Miss MOONLIGHT (1995.4.26発売/テレビ朝日「mew」OP)
c/w DANCE 2 GARNET (toy version)
c/w BABY GLAMOROUS
- BEAMS ORIGINAL INSTRUMENTAL
- SEE YOU (1996.2.21発売)
c/w COMICAL
- KISS
- SEE YOU ORIBINAL INSTRUMENTAL
- ピストル (1996.4.17発売/COUNT DOWN TVED)
c/w Walkin' on the edge
- ピストル original instrumental
- Like @ Angel (1996.11.18発売/テレビ朝日ドラマ「しようよ」ED)
c/w Suck me!
- Like @ Angel original instrumental
- NITE&DAY (1997.4.10発売)
c/w SICK -1997 BURST VERSION-
- NITE&DAY VOCALLESS TRACK
- Spray (1997.6.4発売/スーパーJチャンネルOP)
c/w カマキリ -1997 BURST VERSION- (モード学園CMソング)
- Spray (vocalless track)
- 少年 (1997.11.19発売/ダイハツCMソング)
c/w Merry X'mas,I Love You
- MARIA (1998.4.8発売/ダイハツCMソング)
c/w Unlearned Man -1998 CRAZY FIRE VERSION-
※MARIAに歌詞が掲載してないのは当時「カラオケで歌って欲しくない」ためであった。現在カラオケでは配信中。
[編集] アルバム
- 迷える百合達~Romance Of Scarlet~ (1994.3.9発売/1998.5.27再販)
- Cruel (1994.8.31発売/1998.5.27再販)
- feminism (1995.5.10発売/1998.5.27再販)
- FAKE STAR~I'M JUST A JAPANESE FAKE ROCKER~ (1996.5.26発売)
- Drug TReatment (1997.6.27発売)
- 1997 10.31 LIVE AT 新宿LOFT (1998.1.1発売)
- CORKSCREW (1998.5.27発売)
- EMI 1994-1998 BEST OR WORST (1999.2.17発売/2002.1.17再販)
- 1stとベスト盤の収録曲『autism-自閉症-』は自閉症協会からのクレーム(「自閉症」という言葉の意味を歌詞内で取り違えていたことによる)で曲自体の収録が禁止されたため、再販盤には収録されていない。
- 1stから3rdまでの作品は1998年に白地にタイトルとアーティストロゴのみのシンプルなジャケットに差し替えられて再販されている。
[編集] ビデオ
- 短命の百合達(1994.7.6発売/後にジャケットと一部内容を変えて1999.3.31再販)
- Theater of Cruel(1994.9.28発売)
- tour feminism PART I(1995.9.27発売)
- pictures(1995.12.13発売)
- 1996 FAKE STAR'S CIRCUIT-BOYS ONLY(1996.10.4発売)
- 1996 FAKE STAR'S CIRCUIT-YOKOHAMA ARENA(1996.11.18発売)
- 1996 FAKE STAR'S CIRCUIT-TOUR DOCUMENT(1997.1.29発売)
- pictures 2(1997.10.22発売)
- 1997.10.31 LIVE AT 新宿LOFT(1998.1.16発売)
- LIVE OR DIE-Corkscrew A Go Go-(1999.3.31発売)
[編集] LP
- 1997.10.31 LIVE AT 新宿LOFT(1998.1.16発売)
[編集] DVD
- pictures vol.1(2000.10.18発売/for dear~SEE YOUまでのPVが収録)
- pictures vol.2(2000.10.18発売/ピストル~後遺症~afftereffect~のPVを収録)
- 1997.10.31 LIVE AT 新宿LOFT(2000.10.18発売/2003.10.29再販/VHSの再販)
- LIVE OR DIE-Corkscrew A Go Go-(2000.10.18発売/VHSの再販)
- 後にpictures vol.1とLIVE OR DIE-Corkscrew A Go Goは、収録曲である自閉症が自閉症協会からのクレーム(「自閉症」という言葉の意味を取り違えていたため)で曲自体の収録が禁止されたため、全て廃盤・回収。現在では希少価値が高いDVDとなっている。
[編集] その他
[編集] V.A
- EMERGENCY EXPRESS '93 DEAD ANGEL 視覚を突け! (1993.2.1発売)
1曲目「MISSING GLORY」で参加
- The Monsters of Shock Age (1993.9.25発売)
SHOXX別冊「SHOCK AGE SPECIAL」付録CD
1曲目「IN SKY (New Version)」で参加
- SHOCK AGE Vol.1(1993.9.25発売)
4曲目「中絶」で参加
[編集] NOT FOR SALE
- 百合の花束 -Acoustic Version- (1993.9.30/渋谷公会堂にて無料配布CD)
- EITHER SIDE (1996.7.31/「1996 FAKE STAR'S CIRCUIT」横浜アリーナにて無料配布CD)
- MY STRANGE DAYS (1998.3.31/「LIVE OR DIE-Corkscrew A Go Go-」予約購入特典CD)
[編集] 未発表曲
- FUNERAL SONG (91年11月4日から92年前半まで演奏していた曲)
- New Face(そばにいればよかったのに 眠らせずに愛せたのに)
(93年3月1日に演奏されその1回で演奏されなくなった曲)
- カメリア(銀世界) (93年に2回演奏された曲で少年ぽい曲)
- REST ROOM (1998年「-Corkscrew A Go Go-」で演奏された新曲)
[編集] 書籍
- 黒夢―夢中占夢 (1994.12.1発売)
- BEAMS (1995.10発売)
- ナイフ―清春写真集 (1996.11発売)
- 黒夢写真集 PEACE (1997発売)
- Heaven Or Hell ~Kuroyume Tour Book 98 (1999.4.2発売)