麻雀牌
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萬子(マンズ) |
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索子(ソーズ) |
筒子(餅子、ピンズ) |
四風牌 |
三元牌 |
花牌 |
麻雀牌(マージャンぱい)は麻雀を行う際に使われる用具のひとつである。単に牌(はい、ぱい)と称されることも多い。
日本で広く行われている清麻雀では花牌を除いた萬子(マンズ)・筒子(ピンズ)・索子(ソーズ)・字牌(ツーパイ)の136枚を扱う。
萬子・筒子・索子は数牌(シューぱい、すうぱい)と呼ばれ、それぞれ一から九までの区別がある。字牌はさらに三元牌と四風牌に分かれ、三元牌は白發中の3種、四風牌は東西南北の4種である。以上の34種がそれぞれ4枚ずつ使われる。
花麻雀では花牌も用いる。
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[編集] 材質
現代では主にプラスチック製のものが一般的である。 また、全自動麻雀卓で用いる牌には、内部に磁石や鉄が挿入されているものがある。
歴史的には、紙札と骨牌を始祖としており、古くは牛骨や象牙製のものが主流であった。
また、竹牌と呼ばれる、牌の背の部分に竹を使用したものも存在した。竹牌は一牌ごとに背の竹の目が微妙に異なることから、背の特徴と牌種を結びつけて記憶することにより、牌を伏せた状態でも牌種を知ること(ガン牌)ができる可能性がある。 そのため、最近では竹牌が用いられることはほとんどない。
さらには、主に物資の不足などの理由で木製や紙製(紙を何枚も重ねて接着し牌としたもの)の牌が使われていたこともある。他に、黄銅、ヒスイ、アルミニウムなど、およそ造形が可能な材料であればなんでも牌の原料として使われる可能性がある。
[編集] 牌の種類
麻雀の牌はいくつかのグループに分かれ、役などに深く関係している。主な分類を以下に示す。
ヤオ九牌 | 中張牌 | |||
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数牌 | 萬子 | 老 頭 牌 |
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筒子 | ||||
索子 | ||||
字牌 | 風牌 | |||
三元牌 |
[編集] 数牌
数牌(シューぱい、すうぱい)とは、麻雀牌のうち、数字と関係付けられる27種類の牌の総称である。いずれも金銭またはそれに関わるものをモチーフとした牌である。 萬子、筒子、索子より構成される。また、中張牌と老頭牌という分類も存在する。なお、3つまたは6つ離れた数牌のことを筋というが、これは両面待ちの場合に和了牌となるのが筋の牌だからである。
[編集] 萬子
萬子(マンズ、ワンズ)とは、一萬から九萬までの9種類の牌の総称である。「萬」とは金銭単位をモチーフとしている。
[編集] 筒子
筒子(ピンズ/トンズ)とは、一筒から九筒までの9種類の牌の総称である。「筒」とは、貨幣の形状をモチーフとしている。
[編集] 索子
索子(ソウズ)とは、一索から九索までの9種類の牌の総称である。「索」とは貨幣に通してまとめる竹串をモチーフとしている。なお、一索だけは鳥をモチーフにしたデザインとなっているが、これは一索を索一本で表示した図柄が男性器を連想させるから、それを嫌ったための処置であるという。
[編集] 中張牌
中張牌(チュンチャンパイ)とは、麻雀牌のうち、数牌の2から8まで(二萬から八萬まで、二筒から八筒まで、二索から八索まで)の21種類の総称である。
断ヤオ九に使用される牌であることからタンヤオ牌とも呼ばれる。
右にも左にも数字が繋がるので順子として使いやすいが、ヤオ九牌に比べると大きな役には絡みにくい。
[編集] 老頭牌
老頭牌(ラオトウパイ/ロウトウハイ)とは、麻雀牌のうち、数牌の1と9(一萬、九萬、一筒、九筒、一索、九索)の6種類の総称である。
順子に使えるが、一方にしか数字が繋がらないため中張牌に比べると使いにくい。 全ての面子に老頭牌を絡めると純全帯ヤオ九、老頭牌のみで手を作ると清老頭の役が付く。
[編集] 字牌
字牌(ツーパイ、ジハイ)とは、麻雀牌のうち、数字と関係のない風牌と三元牌の7種類の牌の総称である。
順子に使用できないため数牌よりは使いにくいが、役に絡みやすく多く集められれば大きな点数が得やすい。
牌の種類を限定した役では、字牌を含むものには「混」、含まないものには「清」が付くことが多い。例えば、 1色の牌と字牌のみで作る役を混一色と言い、1色の牌のみで作る役を清一色と言う。
[編集] 風牌
風牌(フォンパイ,カゼパイ)とは、字牌のうち、東(トン、ひがし)、南(ナン、みなみ)、西(シャ、にし)、北(ペー、きた)の4種類の牌の総称である。
場や現在の親が誰であるかによって、刻子もしくは槓子が役牌となるか及び対子が平和における雀頭として認められるかが異なる。
[編集] 場風牌
場風牌(バカゼパイ)は役牌の一種で、場と同じ牌(東場なら東、南場なら南)のことをいう。正式には荘風牌(チャンフォンパイ)と言う。場風牌を刻子もしくは槓子とするとファンパイで1飜役となる。
一般的なルールにおいては、平和における雀頭としては認められない。
[編集] 門風牌
門風牌(メンフォンパイ)は役牌の1種で、自らの門風(親を東とし、反時計まわりに南西北とする)と同じ牌である。自風(じかぜ)ともいう。なお、門風牌を刻子もしくは槓子とするとファンパイで1飜役となる。
一般的なルールにおいては、平和における雀頭としては認められない。
[編集] 客風牌
客風牌(オタカゼパイ)とは、役牌ではない(場風牌・門風牌のどちらにもならない)風牌のことである。
刻子もしくは槓子にしても役とはならず、平和における雀頭として認められる字牌である。
[編集] 三元牌
三元牌(サンゲンパイ)とは、字牌のうち、白(ハク、しろ)、發(ハツ、漢字は発の旧字)、中(チュン、ちゅう)の3種類の牌の総称である。
ちなみに、正式名称はそれぞれ白板(パイパン)・緑發(リューファ)・紅中(フォンチュン)である。白い肌・緑の黒髪・紅い唇という、美女の三大要素であるという説がある。
大三元や小三元などの役において、役の成立条件となっているほか、場風や門風によらず、刻子もしくは槓子とすると1飜役が成立する(役牌)。
一般的なルールにおいては、平和における雀頭としては認められない。
[編集] ヤオ九牌
么九牌(幺九牌、ヤオ九牌、ヤオチューパイ)とは、麻雀牌のうち老頭牌と字牌をまとめた13種の牌の総称である。
ヤオは「小さい」→「一」の意味であり、本来は老頭牌を指す用語だったが、適切な老頭牌と字牌を合わせた総称がないということでこの意味に流用されている。中国語では今も老頭牌の意味である。
これを含まない和了が断么九、全ての面子にヤオ九牌を含む和了が混全帯么九、これらの牌だけ(ただし数牌と字牌が混在していること)で作った対々和が混老頭、全種類のヤオ九牌を集めて内1種を対子にした物が国士無双である。
[編集] ヤオの漢字について
「ヤオ九牌」の「ヤオ」は幺の異体字で、「么」(公の2画目を取った字。数値文字参照 么)である。この文字はJIS X 0208に含まれてないが、JIS X 0213には含まれており、2-1-10の符号位置を与えられている。すべての日本語環境で表示できるわけではないので、記事名ではカタカナを用いている。
[編集] 花牌
花牌(ハナハイ/パイ)は、四季及び四君子を描いた牌であり、数牌にも字牌にも属さない特殊な牌である。中国麻雀や花麻雀などで使用される。なお、赤ドラのことを花牌と呼ぶ場合もある。
これら以外にも、「琴棋書画」「漁樵耕読」「文明世界」などの四字のものもある。 近年、フリー雀荘では店名を表すものも多い。
一般的な使用法としては、手にこの牌があるか自摸ってきた場合に横に晒し、新たに嶺上牌を1枚自摸る。晒された牌は、和了時にボーナス点となる。
アルシーアル時代は花牌は一個4符、自家の方位に対応する花牌(例:南家ならば夏・蘭)は和了時一翻、すべて集めれば和れば満貫、和らなければ二翻とすることが多かったが 現在はドラとすることが多い。
上海など、麻雀牌を用いたパズルゲームではこれら花牌が登場することが多い。
[編集] 牌の表記法
- 漢字で表記する場合
- マンズ 漢数字 + 萬(万)= 一萬・二万
- ピンズ 漢数字 + 筒 = 三筒・四筒
- ソーズ 漢数字 + 索 = 五索・六索
- 字牌 東、南、西、北、白、發(発)、中
- 半角英数字で表記する場合
- マンズ 半角数字 + m = 1m・2m
- ピンズ 半角数字 + p = 3p・4p
- ソーズ 半角数字 + s = 5s・6s
- 字牌 E、S、W、N、D、H、T ※これはプログラム記述などの場合に多い
通常、数牌は半角英数字+m・p・s、字牌は漢字で表記する。
例)123m456p789s東東東中中
また他に、マンズを漢数字、ピンズを丸付き数字または丸括弧でくくった算用数字(パソコンでは丸つき数字が機種依存文字のため)、ソーズを算用数字で表記する例もある。
例)一二三(4)(5)(6)789東東東中中
[編集] ゲタ牌
ゲタ牌は麻雀牌の一種。
中国や香港などで一般的に使われている麻雀牌は、日本のそれと比べて大きくできている。その中国タイプの大きな牌を日本ではゲタ牌と称する。
[編集] 外部リンク
- 麻雀博物館 貴重な牌の画像を数多く見ることができる