魔太郎がくる!!
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魔太郎がくる!!(またろうがくる)は1972年から1975年にかけて『週刊少年チャンピオン』に連載された、藤子不二雄A作のホラー漫画作品。
ひ弱な中学生、浦見魔太郎(うらみ またろう)がいじめっ子や傍若無人な連中などから毎回激しいいじめを受けるが、実は魔太郎は魔術に長けた男であり、得意の魔術を駆使して壮絶な復讐を行うサスペンスフルな怪奇ドラマが展開した。
目次 |
[編集] あらすじ
ひ弱な中学生、浦見魔太郎は毎日毎日、私立友愛学園の同級生や町の不良らから陰湿で激しい虐めを受ける悲惨な毎日を過ごしていたが、彼は両親すら知らない黒魔術のスペシャリストという恐るべき一面を持っていた。魔太郎は我慢の限界を超えた虐めを受けたとき、黒魔術によって魔王サタンと契約し、黒マントを羽織り赤いバラのシャツを着て出陣し、加害者に対して壮絶な復讐を展開する。だがある日、魔太郎の自宅の直近に阿部切人という赤ん坊とその親が引っ越してきてから、逆に切人らに陰湿な手口で虐めを受けるようになる。魔太郎の魔術の上手を行く切人の正体とは・・ 決めセリフは、魔太郎の「このうらみはらさでおくべきか」 一時期クラスメイトから性的なイジメも受けるようになり いじめっこに命令されて片思いの女性にチンチンを見せてしまったことがある
[編集] 概要
藤子不二雄Aは本作についてのインタビューにおいて『自分がいじめられっ子だったこともあるのですが、いじめられっ子が実は凄く強くて、やられた相手に大逆襲するような作品なら面白いだろうと思ったのが本作の出発点です』等と語っているように、この作品は全国のいじめられっ子のうっぷんを代弁し、それを豪快に晴らしていくカタルシスに満ちた作品である。「笑ゥせぇるすまん」「ブラック商会変奇郎」「黒ベエ」など、藤子A氏の発表した一連のブラックな作品群の中でも、その完成度の高さと読み応えから一際ファンの間では人気が高い。
特徴として毎回「袋」・「ロープ」等さまざまなアイテムが題材となり、魔太郎はそのアイテムにちなんだ苛めを受けるが、終盤で魔太郎がそのアイテムを効果的に使用した復讐を展開するというコンセプトで描かれていた。
基本的に一話完結であるが、中盤より魔太郎を陥れようとする謎に満ちた不気味な赤ん坊阿部切人(あべ きりひと)とその両親の登場により作品の路線が変更され、物語は連続性を帯びていく。やがて迎えるクライマックスに至って、魔太郎出生の恐るべき真実が明かされると共に、人類存亡を賭けた壮大な善と悪の戦いが描かれ、恨みを晴らす物語からファンタジー・ホラーへと変遷していった。
[編集] 登場人物
[編集] 浦見魔太郎
(うらみ またろう)
[編集] 浦見陽太郎
(うらみ ようたろう)
[編集] 魔太郎のママ
[編集] 南由紀子
(みなみ ゆきこ)
[編集] 阿部切人
(あべ きりひと、藤子不二雄ランド版以降ではきりと)
[編集] 切人のパパ
[編集] 切人のママ
[編集] 怪奇や
[編集] 原作の改編とその事情
本作は発表当初、魔太郎の恨みの晴らしかたの一部が過激で、ほとんどの場合自分を苛めた者を廃人にするか死なせてしまう(例えば、魔太郎に好きな女の子の前で下半身を出すように強要したいじめっ子の同級生2人を、マンション建設現場に呼出しユンボ(パワーショベル)で襲いかかった挙げ句、生コンクリに生きたまま沈める、また別の話ではスイミングスクールの合宿で魔太郎に過剰なしごきをしたコーチを罠を使って溺死させる、等・・)。初単行本化作品(秋田書店刊)は雑誌初出とほぼ同じものが収録発売されていたが、その後の少年事件の凶悪化・深刻化などの社会情勢を考慮し、後年発刊された作品全集『藤子不二雄ランド』刊行にあたって大幅に書き直された話がエピソード全133話のうち34話、或いは欠番扱いとなった話が25話ほど存在する(上記で例に挙げた話の場合、前者は「ユンボが怪獣と化し、二人に襲い掛かる」だけに修正、後者は欠番)。ちなみに魔太郎の漫画の誕生秘話を描いた番外編の1話(チャンピオンの1975年46号掲載)だけは当初から単行本未収録となっている。だがいじめが社会問題化する中でこの作品の意義は大きいと残酷な結末を再び載せることを希望するファンも多い。
この作品は度々アニメ化の企画が持ち込まれていたが、そういった事情からか作者は映像作品にする事を拒否しているという。
後年、成人した魔太郎を描いた後日談『魔太郎がとぶ!』、須麻切人(すま きりと)と名前を変えた切人を主人公にした作品『切人がきた!!』(注・『魔太郎がくる!!』との関連はない)が執筆された。また、FFランド版以降では本作の切人のルビが「きりと」に変更されている。
カテゴリ: 藤子不二雄 | 漫画作品 ま | 週刊少年チャンピオン