飲茶
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飲茶(広東語:ヤムチャ)とは、中国広東省、香港、マカオを中心に行われている習慣で、中国茶を飲みながら点心を食べること。広東出身の華僑・華人が多い海外のチャイナタウンや、中国のホテルの朝食などにおいても行われている。茶を飲むことは、油分が多かったり、濃い味の点心とも合い、消化の促進や油分の吸収を阻害する手段ともなっている。
[編集] 歴史
起原をたどれば、喫茶の習慣が本格化した唐代にまでさかのぼることができるかも知れないが、中世においてはせいぜい簡単なナッツ類や菓子が茶請けとして用いられ、あくまでも主体は茶にあった。このような形式で、茶請けを食べながら茶を飲む習慣は、浙江省、江蘇省、福建省、台湾などの江南地方を中心に、北京など各地で、現代も見ることができる。
その後、明代の大都市のひとつ現江蘇省の揚州で料理が発展し、各種点心も作られるようになった。揚州には「富春茶社」のような清代から続く茶店もあり、数多くの点心を出すことで知られている。揚州で飲まれる茶の主流は緑茶である。
一方、現広東省の省都広州でも、清代から現在にまで続く「陶陶居」の様な料理店が数多くでき、料理だけでなく点心にも工夫を凝らして出すようになり、点心は間食としてよりも、朝食として重要な位置をしめるようになった。
香港は、多くの広州出身者がおり、20世紀には、料理も広州の料理を基本に、中国各地のみならず、各国の手法を取り入れて発展した。朝に点心を食べながら茶をのむ習慣も根付いており、後には午後のおやつや昼食として点心を食べ、併せて茶を飲む人も増えた。現在では、生活習慣の多様化に合わせて24時間営業する飲茶の店もある。香港において、主流はプーアル茶や烏龍茶や菊花茶や寿眉茶などで、緑茶は余り飲まれない。
なお、イギリスに統治された歴史があり、広東系の華人が多いシンガポールにおいて、ハイティーは、紅茶やサンドイッチなどの西洋料理の軽食のほか、シュウマイなど中華料理の点心も供され、飲茶の様式を取り入れたものになっている。
[編集] 日本における飲茶
日本の中華料理店で出す点心は、華北風の餃子や上海風の小籠包や餡饅が主流であったが、1980年代以降、香港を訪れる観光客が増えるのに連れ、日本でも広東式の点心を出す店が増えた。
特に1990年代には、中国で食品の冷凍技術が発達し、点心を輸出できるようになると、これを蒸したり揚げたりして出す中国料理店も増え、食べられる店が増えた。近年、日本においては回転寿司のレーンの上に小型の保温容器を乗せてまわす回転飲茶ができているが、多くは中国製の冷凍食品を利用している。
日本の大衆的な店においては、飲茶イコール点心を腹一杯食べることであって、茶を飲むことには重点が置かれない。このため、用意されている茶もジャスミン茶だけだったりすることが多い。
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