風の聖痕
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風の聖痕 | |
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ジャンル | 伝奇 |
小説 | |
著者 | 山門敬弘 |
イラスト | 納都花丸 |
出版社 | 富士見書房 |
掲載誌 | 月刊ドラゴンマガジン |
レーベル | 富士見ファンタジア文庫 |
巻数 | 本編6巻 短編2巻 以下続刊 |
『風の聖痕』(かぜのスティグマ)は、富士見ファンタジア文庫から発行されている山門敬弘のライトノベル。イラストは納都花丸。第13回ファンタジア長編小説大賞〈準入選〉受賞作。
応募時タイトルは『風に祈りを』。
目次 |
[編集] 概要
選考会審査員からは、ダイナミックなコミック的表現が文章とうまく融合した作品であると評価された。
著者・山門敬弘にとって、本作品がデビュー作で、しかも本人によると驚くべきことに、本作品がほぼ初めて書いた長編小説だということ。それにもかかわらず、「風」という目に見えないものを文章で見事に表現している。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
かつて炎術師の名門、神凪宗家の血筋を引きながらも、その炎術の才能の無さにより一族から放逐された神凪和麻。それから4年の月日が流れ、和麻は風術師として大成し、八神と性を変え、再び日本の地を踏む。日本での初仕事、和麻は簡単な霊障を払う仕事を引き受けたが、依頼人の元で神凪の術者と鉢合わせになってしまう。このことがきっかけとなり和麻は次々と難解な事件へ巻き込まれていく。
とにかく強い風術師の主人公に、美人で気が強い炎術師のヒロイン。次々と襲い来る強敵。首が飛び、高層ビルは輪切りにされる!? 風の聖痕は少年マンガテイストな、努力・友情・勝利が詰まっている。シニカルでクールな和麻や、とにかく元気のイイ綾乃、さらには可憐で儚げ、弟属性バリバリな煉たちが作品を盛り立てる。
[編集] 既刊一覧
- 長編
- 風の聖痕 ISBN 4829114037
- 風の聖痕2 -魂の値段- ISBN 4829114479
- 風の聖痕3 -月下の告白- ISBN 4829114940
- 風の聖痕4 -瑠璃色の残影- ISBN 4829115580
- 風の聖痕5 -緋色の誓約- ISBN 4829115998
- 風の聖痕6 -疾風の槍- ISBN 4829117699
- 短編
- 綾乃ちゃんの災難 ISBN 4829116382
- 僕だけのマドンナ ISBN 4829117206
[編集] 登場人物
- 八神 和麻 (やがみ かずま)(声優:小野大輔)
- 本名・神凪和麻。22歳。18歳の時、実家である神凪家から炎術の才能の無さによって放逐された。その後外国へ渡り、ある事件に巻き込まれて風術師としての才能を開花させる。風の精霊王と契約した世界唯一の契約者(コントラクター)であり、世界最強の風術師。契約者としての能力を開放すれば、ほぼ無限の力を使うことが出来るが、契約者の力を全開で使った場合は数分で動けなってしまう。また、瞳に精霊王に契約の証としての聖痕をつけられており、契約者の能力を使った時は瞳が蒼穹の色に染まる。極度の皮肉屋で、著しく勤労意欲に欠ける。本人は片手で祓えるような小さな霊障を相手に、小金を稼いで気ままに暮らしたいと考えているが、本人の秘める凄まじい力によってそれらの願いが叶えられることはない。性格はちゃらんぽらんでいいかげん。一見するとダメ人間の典型だが、時折見せる影のある表情は暗い過去と共に人間的な深さをうかがわせる。合理主義者に見せかけておいて、実際は理性よりも感情を優先するタイプ。自分のものに手を出されることを嫌う。
- 神凪 綾乃 (かんなぎ あやの)(声優:藤村歩)
- 神凪次期宗主として期待されている16歳の女子高生。12歳の時、一族の宝剣・炎雷覇(えんらいは)を継承している。外見は光り輝く様な美少女であるが、普段は猫をかぶっており、素の顔を見せるのは一部の者にだけである。炎術師としての才能は申し分なく、実力は父親にて現宗主の重悟、和麻の父親・厳馬に次ぐナンバー3。いい加減な態度で仕事に臨む和麻を毛嫌いしていたが、和麻の内に秘める様々な想いや、これまでの壮絶な経験を知ることで徐々に惹かれていく。父親である重悟をなにより尊敬しているが、若さゆえに衝突することもしばしばである。
- 神凪 煉 (かんなぎ れん)(声優:森永理科)
- 和麻の弟。和麻とは違い、あふれんばかりの炎術の才能を持って生まれ、中学生ながらに最高位である<黄金の炎>を使う炎術師。弟属性バリバリだが、中身はしっかり者の12歳。和麻や綾乃、父親の厳馬など周りにレベルの高すぎる術者が多いため、自分は才能がないのではないか、と悩んでいる。術の出力では綾乃に及ばないが、微細なコントロールを必要とする技術面では秀でている。温和な性格と、内に秘める嚇怒によって順調に一流の炎術師への階段を上り始めている。和麻のことを尊敬しており、戦闘時の駆け引きなどでは、和麻を参考に行動することも多い。
- 神凪 重悟 (かんなぎ じゅうご)
- 神凪一族宗主で綾乃の父親。神凪一族最強の術者だが、事故により片足を失ってから一線を退いている。歴代で12人しか確認されていない「神炎」の使い手で、その炎の色彩から紫炎の重悟、という二つ名で呼ばれていた。常に和服を着用し、厳しさを感じさせる雰囲気を纏っているが、娘には甘い。かつて一族のお荷物として疎まれていた和麻にも厳しさの中にも優しさが感じられる態度で接していた。和麻の放逐を止められなかったことを悔いており、なんとか神凪家に戻ってきて欲しいと思っている。
- 神凪 厳馬 (かんなぎ げんま)
- 和麻・煉の父親にして現役では神凪一族最強の術者。数少ない神炎の使い手の一人で、蒼炎と呼ばれる蒼い霊気で染められた炎を操る。厳格という言葉が相応しい人物。自分にも他人にも常に厳しい態度で接する。和麻を放逐した元凶なのだが、その真意は神凪という鎖から和麻を解放させるためであった。
- 橘 霧香 (たちばな きりか)
- 陰陽師の一族として有名な橘家の分家の術者で、公営退魔組織「特殊資料整理室」の室長。二年前にロンドンで和麻と出会い、彼が契約者であることも知っている。和麻との仲も良く、そのため綾乃にライバル視されている。
[編集] 用語
- 精霊術師
- 地水火風の四大精霊たちの力を借りて、自らの意志を現実に顕現させることのできる能力者。簡単に言いなおすと精霊の力を借りて現実というシステムにハッキングを仕掛け、己の望むよう現実のプログラムを書き換えることにより非現実を作り出す者。和麻は風の精霊の力を借りて風術を、綾乃たち神凪の術者は炎の精霊の力を借りて炎術を行使できる。地術は防御力、水術は不明、炎術は攻撃力、風術は速度や探査能力などそれぞれに得意とする分野がある。日本では地術の石蕗家、炎術の神凪家、外国にも風術の凰家、炎術のマクドナルド家など、それぞれに歴史ある超一流の大家が存在する。
- コントラクター(契約者)
- 精霊王と契約を交わし、一時的にではあるが、王の権能を譲り受けることを許された者。しかし譲り受ける力が莫大すぎるという欠点があり、人間の力では長時間その全能力を行使することはできない。和麻は現在確認されている歴史上唯一のコントラクターで、過去には神凪の初代宗主が炎の精霊王と契約したという伝承があり、その際賜ったのが神器・炎雷覇であるとされている。(ただし、一巻では実際に風の精霊王と邂逅したであろう和麻が、その事を事実だと匂わせる発言をしているため事実である可能性が高い)風術の大家、凰一族が風の神器・虚空閃という神槍を授かっているが、精霊王と契約したという事実があるかどうかは不明。
- 神炎
- 炎術師として極めて高い能力の者にだけ発現する現象。通常、神凪宗家の人間の炎の最高位は黄金色であるが(分家も過去は黄金だったようだが現在は失われた)、能力を極限まで研ぎ澄ませる事に成功したとき、操る炎に自分の霊気の色が宿る。作中で確認されている神炎は重悟の紫炎、厳馬の蒼炎、綾乃の紅炎(ただし、綾乃はまだ自分の任意で発動させることができない)の3つ。なお、神凪の炎には破邪の力が備わっており、炎術師として神凪一族が最強を誇る理由の一つとされている。
- 特殊資料整理室
- 警視庁に所属する、国内唯一の公営退魔組織。陰陽寮の解散から百年余りの間、霊的守護を民間が携わっているという現状を打破するために設立された。しかし、設立から十年足らずの新設の部署であり、能力的には十分だが制御ができないものが若干名いるだけなので、即戦力となる術者がおらず、未だにほとんど実績をあげていない。なお、特殊資料整理室という名称は、「資料」と「死霊」をかけた駄洒落のためと、堂々と妖魔退治を標榜することができないために、いかにも「閑職」という感じの名称を付けたためといわれている。
[編集] アニメ
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[編集] スタッフ
- 監督:坂田純一
- シリーズ構成:関島眞頼
- キャラクターデザイン:新田靖成
- 音楽制作:フロンティアワークス
- アニメーション制作:GONZO
- 製作:スティグマ製作委員会