集中豪雨
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集中豪雨(しゅうちゅうごうう)とは、限られた地域に対して短時間に多量に雨が降ることを言い、別名ゲリラ雨とも呼ばれる。気象学的には明確な定義はないが、目安として直径10kmから数十kmの範囲に時間雨量50ミリを超える場合。台風などと異なり予測が困難であり、また地形によって土石流・地すべり・崖崩れなどの土砂災害、洪水などの被害がおきやすい。なお、一般に市街地における排水能力は時間雨量50ミリ前後を想定しており、これを超える場合には内水氾濫(堤防で守られた内側にある排水路などが溢れること)になりやすい。
初めてこの言葉が公に使用されたのは、1953年(昭和28年)年8月14日-15日にかけて、京都府の木津川上流域で発生した雷雨性の大雨に関する、1953年8月15日の朝日新聞夕刊の報道記事とされている。
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[編集] 原因
集中豪雨の原因には、前線、集風線、大気の不安定など様々なものがある。それらの原因により発達した積乱雲が発生して局地的な豪雨をもたらす。
前線の場合、温暖前線・寒冷前線・停滞前線の区別無く、そこに暖かく湿った空気が流れ込んだ時にはどの前線でも起こりうる。
集風線は、天気図を見た場合、東側に高気圧があって等圧線が南北に立ち、しかも南から北に向かって次第に等圧線の間隔が狭まっているような場合に生ずる。このような場合には南からの暖湿気流が収束しながら北上するため上昇気流が生じて雲が発達しやすく、大雨の原因となる。
また、地表面が日射で温まっている時に上空に寒気が流れ込むと上昇気流が発達しやすく、これを大気が不安定であると言い、やはり積乱雲の発生・発達を促して豪雨となりやすい。さらに湿舌(温かく湿った空気が集まって人間の舌のようになっていること)にあたってしまうと大雨になる要素がいくつも重なってしまうため、新潟・福島豪雨や福井豪雨のように1時間に100mm近い記録的大雨を長時間引き起こすと言われている。
実際には、これらが単独で集中豪雨をもたらすことは少なく、複数の原因が重なっているのが普通である。例えば、前線に集風線が交差した所や、強い寒冷前線の通過時に気温が急激に下降して大気が不安定になるなどである。また、昼間から続いた雨が夜間に強まり集中豪雨が発生することが多いが、これは前線や大気の不安定により生じた積乱雲が、夜になって上空の気温は下がるにもかかわらず、地上付近では雲のため余り下がらず、上空との温度差が大となって上昇気流が強まり、積乱雲の発達が起きるためである。
また都市部においてはヒートアイランド現象が関係しているとも言われる。
[編集] 過去の集中豪雨
- 1970年7月1日 千葉県大多喜町(1時間雨量116mm) 大多喜町中野(1時間雨量114mm)
- 1982年7月23日 長崎県長与町(1時間雨量187mm) 長崎市(1時間雨量127.5mm)
- 1998年9月24日-25日 高知県中部(高知市で1時間雨量129.5mm、24時間雨量861.0mm)
- '98高知豪雨。高知市東部の平野域がほぼ2日間にわたり水没。
- 1999年6月29日 福岡市(1時間雨量79.5mm)
- 博多駅の地下街が水没し、都市型自然災害として問題となった。
- 1999年7月23日 諫早市(1時間雨量101mm)
- 1999年10月27日 佐原市(1時間雨量152.5mm)
- 2000年9月11日 - 12日 名古屋市およびその周辺(名古屋市で2日間に一年の降水量の1/3を超える567mmの降水量)
- 2003年7月18日 - 21日 九州全域(1時間雨量 福岡県太宰府市104mm、長崎県厳原町で116mmなど)
- 2004年7月12日 - 13日(新潟県栃尾市で日降水量422mmに達するなど) 新潟県と福島県
- 気象庁によって「平成16年7月新潟・福島豪雨」と命名された。
- 2004年7月17日 - 7月18日福井県(福井県美山で時間雨量96mmなど)
- 気象庁によって「平成16年7月福井豪雨」と命名された。
- 福井市(足羽川堤防決壊により中心部浸水被害)・鯖江市・美山町(浸水被害、山間部の土砂崩れ)など
- 2005年9月4日 - 東京都、埼玉県、神奈川県(1時間雨量 東京都杉並区下井草112mm、東京都三鷹市新川105mm等)
- 2005年9月6日 - 宮崎水害
- 2006年8月22日 - 大阪府(1時間雨量 大阪府豊中市110mm)
[編集] 関連項目
- 降水ナウキャスト(気象庁・降雨予想システム)
[編集] 外部リンク
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