量子状態
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量子状態(りょうしじょうたい)とは、量子論で記述される系(量子系)がとる状態のことである。
量子系の物理量は、全く同じように系を準備しても測定をする度に値が異なる。 このことは物理量が定まっている古典系とは明らかに異なる。 量子系において定まっているのは物理量ではなく、物理量の分布を表す確率分布である。 系の準備の仕方が同じであれば、どのような物理量であっても、測定値の確率分布は一定である。 すべての物理量の測定値が一定の確率分布をもつような仕方で系が準備されているとき、その系はある量子状態にあるという。
[編集] 純粋状態
系が自然界で許される最大限の範囲にわたって指定されている量子状態を、純粋状態という。 純粋状態は、あるヒルベルト空間の元のうち、
を満たすもので記述される。ただし、とは同じ純粋状態を表す。 このようなを状態ベクトルという。
[編集] 混合状態
純粋状態でない量子状態が混合状態である。混合状態は、あるヒルベルト空間上の演算子ρのうち
- ρはエルミート演算子
- 任意のに対し、
- tr(ρ) = 1
を満たすもので表される。このようなρを密度行列または密度演算子という。
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