量子テレポーテーション
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量子テレポーテーション(りょうしてれぽーてーしょん、英:Quantum teleportation)とは、遠く離れた場所に古典的な情報を転送することで量子もつれ (Quantum entanglement) の効果により量子状態を転送することができるというものである。
テレポーテーションという名前がついてあるが、粒子が空間の別の場所に瞬間移動するわけではない。量子もつれの関係にある2つの量子のうち一方の状態を観測すると瞬時にもう一方の状態が確定することからこのような名前がついた。
古典的な情報転送の経路に対し、量子もつれによる転送をアインシュタイン=ポドルスキー=ローゼン (Einstein-Podolsky-Rosen; EPR) チャネルと呼ぶ。
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[編集] 原理
量子テレポーテーションにはEPRペアという量子もつれの関係にある2つの粒子の間に起こる。例として最も簡単な光子の偏光の場合について説明する。 ここで、は光子1の垂直偏光状態、 は光子1の水平偏光状態を表すものとする。 を初期の偏光状態とすると、
となる。αおよびβは重ね合わせの係数である。あるEPRペアの光子1と光子2の量子もつれの関係は のように表される。この式により、光子1 が垂直偏光ならば 光子2 は必ず水平偏光となるはずである。
量子テレポーテーションの例としてAさんからBさんに量子状態を転送するとする。AさんはEPRペアの光子2つ(光子1、光子2)を生成し光子2をBさんに送る。次に、Aさんは光子1を観測する。すると、古典的な情報転送によってBさんに光子2の量子状態を知らせることができるのである。
[編集] 実験
長い間、実験は困難であるとされてきたが、1997年に D. Bouwmeester らが初めて量子テレポーテーション実験を成功させた。
2004年には古澤らによる3者間での量子テレポーテーション実験が成功した。この実験の成功により、量子を用いた情報通信ネットワークを構成できることが実証された。
[編集] 参考文献
- C. H. Bennett, et al., Phys. Rev. Lett. 70, 1895 (1993)
- 平野琢也, 量子テレポーテーション, OplusE, Vol.27, No.6, pp.655-659 (2005)
- D. Bouwmeester, J.-W. Pan, K. Mattle, M. Eibl, H. Weinfurter, & A. Zeilinger, Experimental quantum teleportation, Nature Vol. 390, pp.575-579 (1997)
- H. Yonezawa, T. Aoki, and A. Furusawa, Demonstration of a quantum teleportation network for continuous variables, Nature Vol. 431, pp.430-433 (2004)
[編集] 関連項目
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