過電流継電器
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過電流継電器(かでんりゅうけいでんき)は、電線や電気機器への過負荷や短絡を防ぐ目的で使われる汎用性の高い継電器である。回路図などではOCR (Over Current Relay)と表記される。過電流継電器は誘導円盤形と静止形の2種類に大別される。
[編集] 誘導円板形
誘導円板形継電器は移動磁界を作る鉄心と円板に生ずる渦電流との相互作用により動作する。保護継電器の多くはこの形であり、変圧器形とくま取り形の2種類に分けられる。
変圧器形は変流器から供給された電流に比例した磁束がコイルに加わり、継電器内部の円板に渦電流を生ずる。二次コイルにより励磁される磁束の位相はずれを生じるため、その磁束との相互作用により円板が回転力を生じる。コイルに流れる電流が増加すると円板は強い回転運動を行おうとするため、一定の回転を検知すると可回路が遮断される構造となっている。
くま取り形は鉄心の円板に面する一部を銅のリングで短絡し、その部分の磁束の位相を遅らせることによって発生する渦電流が生み出す回転力により制御する。
[編集] 静止形
静止形は物理的な構造による遮断ではなく、電子回路の制御による遮断を行う継電器である。 誘導円盤型の過電流継電器は生産中止になってきており徐々に静止型への転換が進んでいる。