車輪配置
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蒸気機関車の車輪(車軸)配置(じょうききかんしゃのしゃりん(しゃじく)はいち)
蒸気機関車の車輪は、車輪自身が蒸気機関から動力を受け取ってその力により回転する動輪と、車輪自身が動力を受け取らない従輪から構成されている。この従輪のうち動輪より前方にあるものを先従輪または先輪、動輪より後方にあるものを後従輪または後輪という。
動輪と先従輪、後従輪の数は蒸気機関車の構造上、非常に重要な要素であり、その配置パターンにはそれぞれ決まった表現法が与えられている。
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[編集] 表記法
日本でよく知られている車輪配置の表記法は、日本国鉄式、ホワイト式(Whyte notation)、アメリカ式が挙げられる。
[編集] 日本国鉄式
日本の国鉄が制定した方式で、日本で最も標準的な表記法である。先輪の軸数、動輪の軸数、後輪の軸数の順に表記する。動輪の軸数については数字ではなくその数字の順番に対応するラテン文字のアルファベットを用いる(例えば動輪軸3軸はC、動輪軸4軸はD)。従輪がない場合は何も表記しない。
[編集] ホワイト式
世界で最も標準的な表記法で、先輪の車輪数、動輪の車輪数、後輪の車輪数の順に、すべてアラビア数字を使って表記する。軸数ではなく、1軸につき車輪2つと数える。数字の間にはハイフンを入れる。従輪がない場合は「0」と表記する。
[編集] アメリカ式
主にアメリカ合衆国で使われている表現法で、各車輪配置パターンごとに固有の名称を与える。名称を覚えるのが難しいが、覚えれば親しみやすいので日本でも主に鉄道ファンの間でよく用いられている。太平洋戦争前の南満州鉄道や朝鮮総督府鉄道では、蒸気機関車の形式にこの方式の略称を取り込んで使用(パシナ(車軸配置パシフィックの第7形式)、ミカイ(車軸配置ミカドの第1形式)など)していた。
[編集] 実際の配置パターン別の表記
- 先輪2軸、動輪2軸、後輪なし
- 日本国鉄式:2B
- ホワイト式:4-4-0
- アメリカ式:アメリカン、エイトホイラー (American, Eight-wheeler)
- 先輪2軸、動輪2軸、後輪1軸
- 日本国鉄式:2B1
- ホワイト式:4-4-2
- アメリカ式:アトランティック (Atlantic)
- 先輪2軸、動輪2軸、後輪2軸
- 日本国鉄式:2B2
- ホワイト式:4-4-4
- アメリカ式:ダブルエンダー (Double-ender)
- 先輪1軸、動輪3軸、後輪なし
- 日本国鉄式:1C
- ホワイト式:2-6-0
- アメリカ式:モーガル (Mogul)
- 先輪1軸、動輪3軸、後輪1軸
- 日本国鉄式:1C1
- ホワイト式:2-6-2
- アメリカ式:プレーリー (Prairie)
- 先輪2軸、動輪3軸、後輪なし
- 日本国鉄式:2C
- ホワイト式:4-6-0
- アメリカ式:テンホイラー (Ten-Wheeler) - 10個の車輪を有することから
- 先輪2軸、動輪3軸、後輪1軸
- 日本国鉄式:2C1
- ホワイト式:4-6-2
- アメリカ式:パシフィック (Pacific)
- 先輪2軸、動輪3軸、後輪2軸
- 日本国鉄式:2C2
- ホワイト式:4-6-4
- アメリカ式:ハドソン、バルチック (Hudson, Baltic)
- 先輪1軸、動輪4軸、後輪なし
- 日本国鉄式:1D
- ホワイト式:2-8-0
- アメリカ式:コンソリデーション (Consolidation)
- 先輪1軸、動輪4軸、後輪1軸
- 先輪1軸、動輪4軸、後輪2軸
- 日本国鉄式:1D2
- ホワイト式:2-8-4
- アメリカ式:バークシャー、カナワ (Berkshire, Kanawha)
- 先輪1軸、動輪5軸、後輪2軸
- 日本国鉄式:1E2
- ホワイト式:2-10-4
- アメリカ式:テキサス、コロラド、セルカーク (Texas, Colorado (CB&Q), Selkirk (Canada))