般若経
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基本教義 |
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縁起、四諦、八正道 |
三法印、四法印 |
諸行無常、諸法無我 |
涅槃寂静、一切皆苦 |
人物 |
釈迦、十大弟子、龍樹 |
如来・菩薩 |
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部派・宗派 |
原始仏教、上座部、大乗 |
地域別仏教 |
経典 |
聖地 |
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ウィキポータル |
般若経(はんにゃきょう prajñā sutra प्रज्ञासूत्र サンスクリット、paJJaa sutta पञ्ञा パーリ語)は、般若波羅蜜(般若波羅蜜多)を説く多数の経典を総称した呼称。
唐の玄奘が西域・インドから持ち帰って漢訳し、集大成したものが 大般若波羅蜜多経600余巻であり、これを指すことも多い。
一般に空を説く経典とされているが、同時に呪術的な面も色濃く持っており、密教経典群への橋渡しとしての役割を無視することはできない。
般若経典のうち、玄奘訳大般若波羅蜜多経(663年)以前に漢訳された代表的なものを以下に挙げる。
- 『八千頌般若経』(紀元前後 - 1世紀)、大乗仏教初期に編纂され後の仏教発展の基礎となったと考えられている。現存サンスクリット本に対応する残存する漢訳は、
- 『道行般若経』支婁梼讖(しるかせん)訳(179年)、
- 『(小品)摩訶般若波羅蜜経』鳩摩羅什訳(408年)のほか計4本である。
- 『二万五千頌般若経』現存サンスクリット本に対応する残存する漢訳は計3本、
- 『摩訶般若波羅蜜経』鳩摩羅什訳(403年、大品般若経)が中国、日本の仏教形成に大きな影響を与えた。
- 『十万頌般若経』現存サンスクリット本に対応する漢訳はないため、鳩摩羅什(344年 - 413年)の時代には編纂されていなかった可能性がある。玄奘訳『大般若波羅蜜多経・第一会』との対応は明確でない。
- 『金剛般若経』空海将来と称するサンスクリット本があり、残存する漢訳は、
- 『金剛般若波羅蜜経』鳩摩羅什訳(402年)、
- 『能断金剛般若波羅蜜多経』玄奘(648年)ほか計5本である。
この経は「空」を説く般若教典の中で「空」という用語が使われていないため最古層に編纂されたものと考えられている。
- 『般若心経』最古のサンスクリット本が法隆寺に伝わり、残存する漢訳は、
- 『摩訶般若波羅蜜大明咒経』鳩摩羅什訳(402年 - 413年)、
- 『般若波羅蜜多心経』玄奘訳(649年)があり、こののちも4本残存するが、玄奘訳が人口に膾炙している。
他に玄奘訳『大般若波羅蜜多経・第十会・般若理趣分』は、真言宗で重用する理趣経即ち『大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品』不空訳(720年 - 774年)と比較的近いサンスクリット本の翻訳とされている。