臨死体験
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臨死体験(りんしたいけん)とは、人間が事故や病気などが原因で一度死亡したと医師に診断された後に回復した際に体験したと証言したものである。
エリザベス・キューブラー・ロスが、約200人の臨死患者に聞き取りし、『死ぬ瞬間』(1965年)にまとめたものから由来。
後にこれを死亡する際に人間が全て体験するものであると理解されることが多い。
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[編集] 名称
名称はNDE(Near Death Experience、ニアデス体験)、直訳語、近似死体験、であるが、日本では立花隆の著作『臨死体験』が有名となった。なお、臨死とは『萬葉集』(万葉集)の挽歌で人が亡くなる直前の意味で 「臨死(みまか)らむとせし」と訓ずる。医療現場では末期ガン患者など終末期で治療不能患者を臨死患者と称するものである。ところがニアデス体験は本来死亡と診断されたが生き返った人の証言のことであるため、厳密に用語を使用しようとする者はその意味のニュアンスを反映させた訳語ニアデス体験を使用している。なお、この記事では方便として以下臨死体験を使用する。
[編集] 概要
体験者が意識を回復して蘇生した際の証言に基づき、三途の川やお花畑などの「死後の世界」を見たり、体外離脱と呼ばれる体験をしたなどの一定のパターンが存在するという説が唱えられている。
臨死体験の解釈を巡り、幻覚などの脳内現象であるとする説、現実体験であるとする説などがあり、1970年代にはエリザベス・キューブラー・ロスやレイモンド・ムーディらによる実証的研究がはじまり、研究団体も発足して事例の統計や科学的アプローチが行われ、臨死体験に関する国際会議なども開かれている。
[編集] 心霊主義
心霊主義では霊魂が肉体とは別に実在という心身二元論であり、肉体から霊魂が分離する幽体離脱により臨死体験が起こるとされている。
[編集] 外部リンク
[編集] 関連書
- エリザベス キューブラー・ロス 鈴木晶 訳 『死ぬ瞬間』死とその過程について 中公文庫 中央公論新社 ISBN 4122037662
- エリザベス キューブラー・ロス 鈴木晶 訳 『続・死ぬ瞬間』死、それは成長の最終段階 読売新聞社 ISBN 4643990252
- 立花隆 『臨死体験〈上〉』 文春文庫 文藝春秋 ISBN 4167330091
- テレンス ハインズ 井山弘幸 訳 『ハインズ博士「超科学」をきる』臨死体験から信仰療法まで〈Part2〉 化学同人 ISBN 4759802908
- サム・パーニア 小沢元彦 訳 『科学は臨死体験をどこまで説明できるか』 三交社 ISBN 4-87919-163-9