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真如苑

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真如苑(しんにょえん)は、真言宗系 新宗教教団である。

目次

概要

  • 名 称:宗教法人 真如苑
  • 総本山:燈檠山真澄寺(とうけいざん・しんちょうじ)
  • 立 教:昭和11(1936)年2月8日

       ※法人認可は昭和28(1953)年(戦後の宗教法人法制定による)

  • 本 尊:久遠常住釈迦牟尼如来(開祖自刻の釈迦涅槃像)
  • 経 典:大乗大般涅槃経
  • 開祖:伊藤真乗(幼名 文明-ふみあき)(1906~89)
伊藤友司(摂受心院 1912~67)
  • 現代表:伊藤真聰(幼名 真砂子-まさこ・開祖の三女)(1942~)
  • 信徒数:846,080名
  • 所在地:東京都立川市柴崎町1-2-13 電話-042(527)0111

略史

草創期

真如苑の前身は、伊藤真乗によって昭和11(1936)年に開かれた講(成田山立川立照講)であり、真言宗醍醐派・立川不動尊教会、まこと教団を経て、昭和28(1953)年、宗教法人法改正により、真如苑となって、現在に至る。
開祖の伊藤文明(ふみあき-のち真乗)は山梨県出身。技術者として立川飛行機に勤める傍ら、家伝の易学「病筮鈔」を通して、多くの人々の相談に応じるうちに宗教家としての道を感得していく。昭和10(1935)年暮れ、自宅に仏師運慶作と口伝される不動明王を迎え、翌年正月早々から30日間に亘る初の宗教的な行を修めるなかに、妻・友司伊藤友司)(1912-67)が法華経の流れを汲む「霊能」を開発。文明は会社を退き、宗教専従の道に進み、不動明王の縁から真言宗成田山新勝寺の講中として「成田山立川立照講」を設立。昭和13(1938)年、初の会堂である真澄寺建立を機に、「真言宗醍醐派・立川不動尊教会」と改名する。
文明は昭和11(1936)年、真言宗醍醐派総本山醍醐寺において出家得度。その年、長男・智文(法号「教導院」)を失うが、醍醐寺に於いて修行を続け、同14(1939)年に修験の灌頂である恵印潅頂を修め、さらに同18(1943)年、金胎両部伝法潅頂を修めて醍醐寺三宝院流の伝法阿闍梨(大阿闍梨)位を得て、名を真乗と改める。
終戦後、宗教団体法の廃止による本山末寺の包括関係の見直しに機を得て、立川不動尊教会を真言宗から独立させ、まこと教団と改称。教団内に「智泉寮」(現在は智流学院と呼称)を開設して自教団教師の養成の傍ら、瞑想行「まこと基礎行」を行う。

まこと教団事件と真如苑としての出発

昭和25(1950)年、弟子のひとりが宗教家に相応しくない所行を諫められたことを逆恨みし、開祖から暴力を受けたとして訴え出る事件が起きる。開祖は逮捕され、教団は壊滅の危機に瀕する。のちに、弟子の提出した傷害の診断書に日付等の不整合が発生するなど、論拠となる証拠には疑うべき点が多く列挙されたにも関わらず、当時の社会風潮と団体法等規制令が制定されたわずか数年の期間のなかで行われた裁判であることから、有罪判決が出ている。開祖自身は、宗教活動に専念したいと宣言し、上告はしなかったという。

これらの証言・証拠のため、裁判がつづいているなかであるにもかかわらず、新・宗教法人法に基づいた宗教教団「真如苑」の登記申請は、文部省(現在の文部科学省)に受理され、開祖の妻・摂受心院を代表役員(苑主)として、昭和28(1953)年には再出発を見る。

「大般涅槃経を礎とした体系の確立」

この時期、昭和11(1936)年から整備がつづけられていた、「大乗の菩薩行による実践」を中核に置く教団の教学は、大乗涅槃経を中心に、体系化がなされ、その教学を裏づける修行形体も、接心(後述)を中心に整備されていく。
出家だけでなく、在家者をも同じような境涯に導く修行を模索していた真乗は、大般涅槃経と邂逅、その象徴とも言える大涅槃像謹刻を自ら発願した真乗は、昭和33(1958)年の接心道場建立に際して、丈六尺の自刻の大涅槃像を2ヶ月半で完成させている。真乗は大般涅槃経について「出家僧も在家教徒も平等に救われる仏教の理想的完成系」と説き、通常は出家して本山に登り研修しなければ伝授できなかった密教上の教義、哲学、手印などを精進のレベルに応じて信徒に教授し、精進が一定まで進展した者には僧階を授与している。 先の「まこと基礎行」を「接心」(霊能者と対座し、その霊言を以って精進の指針とする)と『相承会座』(霊能者を目指して自らの霊性を磨いていく修行)へと発展させている。また、この時期に、経・部会・連合部という教団の信徒組織や青年会を発足、教師養成機関の「智泉寮」を「智流学院」へと発展させ、現在に至っている。

「教主再婚とお家騒動」

※注意:この節には事実と違う内容が含まれてる可能性があります。
昭和42年の摂受院遷化〔せんげ〕(死去)から約二年間、真如苑の大きなお家騒動の発端は、教主・伊藤真乗の再婚問題であった。 摂受院の一周忌も済まぬうちに伊藤は後妻を家に連れ込もうとする。その相手の松島某子という女性は東京都千代田区平河町の料亭の仲居であった。信者の親族であったというこの女性が教団に入り込んできて、教主夫人として権力を振るうのは好ましくないということで、有力幹部や四人の娘たちが猛反対したのは想像に難くないが、次女・あつ子、三女・真砂子、四女・志づ子の三人は、教主の私的行為を許せず教団から飛び出してしまった。二年後になってこの三人は父の懇請を容れて教団に戻ったが、入れ替わりに、長女・映子とその夫・幹司(伊藤家の婿養子であり、教主の後継者の筆頭候補であった)が教団から追放された。 この間、教主は娘たちから「宗教家にあるまじき私行」として抗議書を突き付けられたという話もあり、最終的に、教団の有力な幹部の中からもかなりの数の脱退者を出した。その後、伊藤の再婚は、「周囲の反対を押し切る形で実現」する。 この騒動の最中の昭和44年3月には、三女が東京駅八重洲口付近でダンプカーに飛び込んで自殺をはかる(未遂に終わったが)という事件も起こっている。これは当時独身であった彼女が、長女の夫から手を出され、不倫の間柄になったのを苦にしてのものと言われている。元々、長女の夫には「覗き」の性癖があったと言われ、それを次女が罵り、昭和43年11月会議において「幹司の修行のやり直し」が決定。 誉れ高い真如密でも「覗き」は治療できなかったようだ。そもそも何故、そのような異常者と結婚したのか、教主がその結婚を許したのか、あるいは「覗き」は単なる濡れ衣なのか、など疑問は尽きないが この決定を次女は不服として「教主が再婚したいが為に長女夫婦と取引した」と主張。この混乱の中、昭和43年12月学生部部長で事務局財務部にいた三女は 四女と共に「闡堤」とされ苑外追放。昭和44年9月17日教苑会議で幹司は「苑での後継者としての資格を失い府中で再修業」という事に決定。この決定に対し長女は「普通の幸せな家庭を築くので引き止めないで」と苑を出て行く。この言葉からどうやら組織内部は「普通ではなかった」ことが想像される。次女はこれを受けて教団後継者の地位を迫るが、教主はこれに答えなかった。その後、昭和49、50年、霊能者として力を伸ばしていた次女に対して、智流院の講義で子供の自慢話をするという「苦情の投書」が殺到する。昭和52年、教徒の信頼を失った次女は苑を去る。彼女が「里帰り」と称して真如苑総本部に突入をはかって、警備の連中と小ぜりあいを演じ、さらに、伊藤真乗の昔の行状を暴露する情報をマスコミに流すこともあった。長女と次女は脱退後、創価学会に入信、この頃から、創価学会は真如苑や立正佼成会に対する攻撃を激化したと言われる。

真如苑を研究している宗教評論家たちは、「昭和二十五年の法難」に関してはおおむね教主側に同情的であり、伊藤の有罪判決は、新宗教を十把ひとからげに邪教淫祀扱いする戦前以来の日本官憲の偏見の犠牲になったものだ、との見方が有力である。

「近年・開祖の死去以降」

平成元(1989)年、真乗が死去し、当初は真乗の遺言(教団では「定記」と呼ぶ)に沿って、 三女・真聰を「継主」、四女・真玲を補佐として「雍主」と呼び 「表裏一体」の体制をつくったが、近年、さらに整理され、真聰が教団代表、真玲は一財団の理事長を務め、現在に至る。
近年、信徒の増加に伴い、真乗が出家前に勤務していた立川飛行機製作所跡(現・多摩モノレール立飛駅前)に信徒修練場「総合道場」を建設し、平成18(2006)年3月25日に落慶法要が行われた。また、平成12(2001)年、東京都武蔵村山市の日産自動車村山工場の跡地を購入し話題となった。

海外交流・社会貢献

比較的早い時期から積極的な海外交流を進めている。1966(昭和42)年には、真乗・友司らがタイで開かれた第八回世界仏教徒会議に出席、またそれに先だって同年、タイ・パクナム寺より仏舎利が贈与されている。
(海外寺院から仏舎利を奉戴した例は他にもあるが、パクナム寺の仏舎利はその縁起が明らかで真性仏舎利である可能性が高く、現在まで日本国内に奉戴された仏舎利の中では覚王山日泰寺の仏舎利と並んで特に貴重。なお苑は後年、仏舎利を公式に管理するスリランカ政府よりも別途仏舎利を贈与されている)。
その後も、1967(昭和42)年には、真乗・友司らが宗教交流親善使節団団長として欧州を歴訪、ローマ法王と謁見するなどしている。昭和45(1970)年にはハワイ巡教、昭和46(1971)年にはハワイに支部設立、昭和60(1985)年には、台湾・フランスに支部、さらに平成元(1989)年にはロサンゼルスに支部を置くなど、海外に教線を延ばしている。
また、巷の新興宗教同様に、WFP(世界食糧計画)やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)への寄付や、ボランティア団体による活動、真如苑が母体となって設立した諸財団による、社会貢献にも努めている。


※現在、阪神大震災新潟県中越地震、等の際の貢献活動の有無、内容、等に関する情報を募集中です。

教義と修行体系

本尊

本尊は、久遠常住釈迦牟尼如来(開祖謹刻の大涅槃像)である。
昭和10年に勧請した大日大聖不動明王が大日如来を中心とする、密教の体系のひとつであることから、この久遠常住釈迦牟尼如来の造形が、顕教の釈迦如来と密教の大日如来を一体とさせたものであることは興味深い。密教では曼荼羅として、仏の内証を示す多くの形式が描かれ、それが礼拝・修行の中心となるが、真如苑においても、久遠常住釈迦牟尼如来、十一面観世音菩薩、涅槃法身大聖不動明王の三輪身を中心とした、部類眷属が礼拝の対象として徐々に整えられており、真如苑が真言密教を出発点としたなごりと言えるだろう。

「双親様・両童子様」

「双親様」とは、真乗・友司(院号:摂受心院)夫妻のこと。真乗は生前より「真如教主」「教主」と称された。
また「両童子様」とは、真乗の長男・智文(立教直後の昭和11(1936)年没。享年 3。院号:教導院)、次男・友一(「まこと教団事件」の渦中、昭和27(1952年)年没。享年15。院号:真導院)のこと。それぞれ、没後に壇上に胸像として荘厳され、感謝の対象となっている。

摂受

法華系新宗教諸教団(他宗派論破・排斥=「折伏」)と異なり、真如苑は「摂受」(全てを受け容れる)のスタンスの元、基本的には他宗派・他教団との摩擦を回避する傾向が強い。
(但し、上記の経緯から創価学会日蓮正宗をはじめとする富士門流系列に対しては、かなり敵意を抱いてる模様)
釈迦最後の説法を説いているとも言われる涅槃経を所依としていることから、全ての川が最終的には海に流れ着くという涅槃経の一節を用いて自教団の教えを「大海の教え」「究極の教え」と位置づけ、他宗派の諸要素は受け容れる=「摂受」というスタンスを取る。
この「摂受」というスタンスのもと、例えば、南伝仏教のパーリ語による三礼(礼拝文)の勤行儀への採用、あるいは、斉燈護摩(屋外で護摩を焚く修験系の法儀)における(修験装束を身につけた)外国人職衆の登用と多言語による作法の読み上げなど、珍しい試みも散見される。
また、苑の用語や教団運営のシステムも、様々な要素から成り立っている。
例えば「上求菩提」(苑においては、教えの上の疑問点を自分より上位の導き親、経親(後述)や事務局等に訊ねること)「下化衆生」(指導し相談に答えること)などは、元来、前者は菩薩が悟りを開かんと行う自行のこと、後者は菩薩が衆生を教導するすることを指す汎仏教的な術語であるが、苑はこれら術語に独自のニュアンスを与えて用いている。前述の「接心」も、禅の用語であるが、形式としてはまったく異なったものである。 これらの苑用語は、伊藤が涅槃経の現代的解釈作業を行った昭和30年代以降用いられている。
「おたすけ」他、教化やシステムに関するしくみ・語彙は、天理教立正佼成会等の新宗教諸教団と類似するものも多い。その他、教理の面以外で他宗派・他教団との軋轢を回避する姿勢の具体的な事例としては、例えば、苑による葬儀の執行に際し

  • 故人が信者であること
  • 家庭内に異議のないこと
  • 家として檀家等になっている寺院や帰依している宗派がないこと

というガイドラインが設けられ、他宗派・他教団との紛争を未然に防ぐことを強調している。

「三つのあゆみ」

仏教の修行・六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)の行を集約したとされる「三つのあゆみ」が信徒の日常の徳目として挙げられ、その「実践」がもとめられる。(信徒は諸々の実践・活動のことを精進といい、精進することをしばしば「あゆむ」と表現する)
その内容は明快で

  1. 「おたすけ」(=身近な者に入信して頂き、信者として育成すること)
  2. 「歓喜」(=布施行、一般的には献金)
  3. 「御奉仕」(=教団のために、身布施を行うこと)

の三項目で、言うまでもなく新興宗教のスタンダードでありこれを補助するのが接心である。この「接心」もまた 新興宗教のスタンダードである。

「接心(せっしん)」

苑内において「霊能者」(苑の修行によって「独自の境涯」に進展した指導者。苑ではこの位階を「霊能」と称する)と対座し、瞑想、問答、思惟しながら己の精神境涯の向上を目指す瞑想行のこと。「接心」において信徒は、真乗の夭折した長男・次男(「両童子」と称する。後述)や摂受心院らが「礎」となってつくられたとされる指導者を通じて各種の指導(「ご霊言」)を受け、修行や生活の指針とする。また接心の修行に当たっては法要への参加(「帰苑」と称する)などの最低限の要件が課される。
禅にも同名の修行があるが、形体はまったく異なるものである。

接心には、以下の種類がある

  • 向上接心
  • 向上相談接心
  • 教化接心
  • 相談接心
  • 特別相談接心
  • 鑑定接心

「護摩と施餓鬼」

護摩(ホーマ)は密教系の修法で、不動明王の法力によって、あらゆる邪気を退ける為のものであり、信徒がスムースな修業を行うには欠かせない物と、真如苑では言われている。接心において、しばしば、信仰障害(先祖の、稲荷龍神神道行者佐野厄除け大師、等への誤った信仰が子孫に及ぼした悪影響)が指摘され、その悪影響を緩和するために必要とされる。¥500より。

施餓鬼とは、本来は、餓鬼界に堕ちた霊人を救済する為の法として、盂蘭盆経(ウランバナ・スートラ)という経典に説かれる法で、日本仏教においては先祖供養、水子供養、等、供養の1つの手段として行う。こちらも接心において、しばしば、先祖等の浮かばれない状況(寒冷所、拘束、病気、けが、障害、等)が指摘され、その悪影響を緩和するために必要とされる。

「教団内の位階」

智流学院で学んだ信徒には、権律師からはじまる一定の位階(僧階)が与えられる。 また、それとは別に信者にはそれぞれの霊性の深浅によって「霊位」とが定められ、それぞれ「小乗」→「大乗」→「歓喜」→「大歓喜」→「霊能」と呼ばれる。真如苑の教義である霊能を磨き、仏性を開発するため、信者の「霊位」を向上させるには、「大乗会」「歓喜会」「大歓喜会」「霊能会」という4段階の「相承会座(そうしょうえざ)」(相承:師より意を継承し、より境涯の高い境涯に達すること)に参加しなければならず、これら会座に列するためには、定められた「三つのあゆみ」(前述)の実績を満たすことが求められる。

「究極の利他行としての“おたすけ”」

仏教では、布施行のなかでも、法施(仏の教えを説くこと)、無畏施(恐れや不安を除くこと)は尊いとされるが、真如苑では、それを「お救け(おたすけ)」と呼び、究極の利他行と位置づけている。


「“お力”と“因縁”」

お力」とは、縁起の法に基づき(無視し、という説もある)、前述「双親さま」「両童子さま」らを祈り、苑の修行の体系の「実践」によって得られた、結果的な霊験のことを指す。
苑の教理では、修行をすることなく神仏に利生(いわゆる「御利益」)を求めて祈ることを「神仏を遣い物にする御利益信仰」として敬遠し、「お力」による霊験・救済は、様々な苑の修行、日々の生活の中での「実践」の結果的な果実として得られるとする。同時に、開祖が修行した醍醐寺は修験道に縁が深かったこともあり、霊験があること、救われていくことも重要視される。また、それらの修行は最終的に「因縁を切る」ことによって身軽になって修行を進め、さらには涅槃経に説かれる常楽我浄の境涯に到達することがその目的とされる。
ここで言う「因縁(いんねん)」とは、本人や先祖、土地の悪業に由来する影の部分、詰まり、悪因縁の事とされ、苑以外の手法では悪因縁を切ることはなかなか出来ず、救われないと説かれる。故に、退転(苑の修行から遠ざかること)は、それらの障碍に晒される結果となるとして忌まれる。
ただ、あまりにも悪因縁が強すぎて真如苑では手に負えない、又は、在籍することが教団の利益にならないか却って不利益になる、と、導き親、経親が判断した場合は、導き子の要望を無視したり、導き子の神経を逆なでする暴言を吐いたりして、あえて退転させる場合もある(要するにリストラ)。
教団を誹謗し他を眩わせる者については涅槃経で説かれる「一闡提」(イッチャンティカ、悪に染まった心を立て替えず、仏法を信じないばかりか誹謗中傷する者(謗法者))とされ、強く忌まれる。真如苑における代表的な「一闡提」としては、かつての教団の指導者-教祖の長女、次女がこれに当たる。「一闡提」は大般涅槃経における概念である。

ただし、この差別思想とも相まって、「真我・如来蔵」を説くオウム真理教や真如苑、仏教の流れを汲みながら釈尊を本仏としない一部の宗派は仏教とは見なされない、との仏教学的根本指摘もあり、むしろこれら大乗と自称する教団自体が、「一闡提」である可能性は高い、という見解もある。
また、夭折した真乗の二人の子、智文と友一は、衆生の苦を抜くため「代受」したとして祀られているが、本来の仏教は個々の行為に因果の理を説くものであって、善悪の因の果報は、他人が身代わりとなって受けることは出来ないとされる。したがってこの因果を無視した「抜苦代受」などは「外道」(仏道以外の教え)と解釈できる。教義構造はむしろ、キリスト教に近い。
そもそも「因縁(いんねん)」とは、本来は「物事の関係性-全ては相互依存する」を示す語であり、「因縁(縁起)の理」を知ることが「悟り」に繋がるわけで、つまり本来の仏教においては、因縁を切る、離れる、という概念そのものが成立しない。また、「霊的な」という、原因と結果の筋道がはっきりしない関係性もまた、本来の仏教の範疇には含まれない。
だが、多くの教団や霊能者は、「因縁」と言う言葉を「(切るべき)悪因縁」という意味で使い、それを「切る」には、その組織、又は霊能者に依存する他は無い、と言う。

「経親」「導き親」「所属」「育て親」

導き親」(紹介者である「おたすけ」をした側)と「所属」(された側。入信した者)の連続系を「」(すじ)といい、その責任者を「経親」(すじおや)と称する。この名称でわかるとおり、苑の組織は、開祖夫妻=「双親様」を教化のはじまりとするため、「双親様」を頂点に、教化側を「親」、被教化側を「子」とする親子の擬制がとられている。 また、経(すじ)のシステムは、信徒の管理単位となっている他、教化活動ほかの情報の伝達、各種の奠供帳(供養などの申込書)の管理なども全て親→子/子→親の流れを基本としている。
ただ、そのシステム故に、導き親が遠方に転居した場合、折角導いた導き子が取り残され退転してしまう場合が多い問題もある。 そこで、それを補うシステムとして考え出されたのが「育て親」である。育て親の役目は、大乗以上の霊位を持ち、且つ、地域にしっかり根付いた信徒が、導き親の転居で退転の可能性がある導き子を導き親に代って歩ませてあげることである。 只、育て親の決定には導き親、経親の裁量も大きいが、導き親、経親が、育て親に就いて理解が無かったり、不熱心だったり、或は退転させるべきケースだったりする場合は育て親を決めず、結果として導き子は退転に追い込まれることになる。

「家庭集会、地域の集い」

家庭集会とは、ある程度の所属を持つ信徒が定期的に所属を集めて自らの家庭で開催する説法会のことで、参加できるのは、同じ経の所属だけで、読経、体験談、上救菩提、等が行われる。 地域の集いとは、上記に似ているが、上記の欠点を解消し、その地域に在住の信徒なら経に拘束されず、誰でも気軽に参加できる。

「1年間にかかる費用」

必須の費用は、年会費2400円である。
その他、廻向(供養)、護摩、接心などの冥加料・献金がオプションとなる。

年間合計「数十万円」支払う者が多く、限度額は設定されていない。

真如苑の位置づけ?新宗教か否か

教団成立は早く見ても「真言宗醍醐派・立照閣」の昭和11(1936)年、遅く見れば現法人認証の昭和28(1953)年であり、「概ね江戸時代以降に興きた宗教」とするならば、「新宗教」である。しかし、教団では、伝統仏教の正統な法流を組んでいることから、(侮蔑的な意味での)新興宗教と類されることを否定している。

新宗教の中には伝統仏教の諸宗派に属していた者が開いた教団が少なくないが、。真如苑の開祖・伊藤真乗の場合に特徴的であるのは、一在家者ではなく、真言宗醍醐派総本山醍醐寺において得度・修行し、同派において大阿闍梨(マハー・アーチャーリャ:大会(だいえ)の導師や灌室を開くことのできる阿闍梨。師・先生の意。弟子の行為を正し、その師範をなる徳の高い僧のこと。特殊の場合としては授戒の師を指すが、のち日本では僧職の一に用いる。)の位を得ていたことである。

参考文献

  • スティーヴン ハッサン『マインド・コントロールの恐怖』(ノンフィクションブックス)
統一教会の幹部だった著者が、洗脳とカルトマインドコントロールについて、そのシステムを 体験を元に心理学的に解き明かした世界的名著。
  • 本多順子『真如苑―祈りの世紀へ』(原生林)
3年間にわたる取材を経た著者が、自身のこころに重ねて綴る異色のルポルタージュ。
  • 秋庭裕, 川端亮『霊能のリアリティへ―社会学、真如苑に入る』(新曜社)
社会学者が、真如苑のインタビューと統計調査を踏まえて書いたレポート。
  • 毎日新聞社『ブッダ最後の教え 真如苑-涅槃経に生きる人びと』(毎日新聞社)
毎日新聞社によるグラフ。
  • 三土 修平『水ぶくれ真如苑―急成長の秘密と欺瞞の構図』(AA出版) 絶版
経済学を教える大学教員である著者はその傍ら東大寺にて得度。その視点で徹底した批判を展開した論評。
  • 桜井秀勲『かっぽう着の法母』(学研) 絶版
真如苑開祖の妻に関する伝記。
  • ひろたみを『ルポルタージュ真如苑-その現代性と革新性をさぐる』(知人館) 絶版
題名のとおり、真如苑に関するルポルタージュ。

外部リンク

公式ページ

真如苑を批判するページ

情報ページ

http://www.rirc.or.jp/data/output.cgi?id=98111101

真如苑が母体となって設立した諸財団

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