白鯨
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『白鯨』(はくげい、Moby-Dick)は、メルヴィルの長編小説。1851年に発表。
モビーディックと呼ばれる人食い鯨を執念で追い続けるエイハブ船長(実質上の主人公で、モビーディックに片足を食われ、義足となっている)、その独断専行を必死に諌めるコーヒー好きの一等航海士スターバック、主人公イシュメル、南の島から来た銛打ち名人クイークェグ、その他雑多な人種からなるメンバーが捕鯨船ピークォド号に乗り込み、苦難の末、モビーディックと相対するまでとその後を描いている。
海洋文学作品では世界一との呼び名も高く、日本版の翻訳初版は昭和24年と古い。しかし現代語とは程遠い表現も多く難解である。スムーズに読みたい場合は新版も出ている。
映画化もされていて(ジョン・ヒューストン監督)、エイハブ船長をグレゴリー・ペックが演じており、狂人ともいえる憎悪の男を怪演している。
なお本作の白鯨とはシロナガスクジラを指してはおらず、マッコウクジラである。
[編集] 作品解説
この作品は象徴性に富み、モビーディックは悪の象徴、エイハブ船長は多種多様な人種を統率した人間の善の象徴、作品の背後にある広大な海を人生に例えるのが一般的な解釈であるが、サマセット・モームは逆に、全身が純白で大自然の中に生きるモビーディックこそが善であり、憎しみに駆られるエイハブが悪の象徴であると解釈している(『世界の十大小説』岩波新書)。
[編集] 豆知識
- 本作には聖書のエピソードが数々登場し、エイハブ Ahab とイシュメエル Ishmael の名も旧約聖書の登場人物アブラハムとその庶子イシュマエルに因む。
- 有名なコーヒー店チェーン「スターバックス」の名前の語源は、本作の一等航海士スターバックである。
- 映画の権利関連は主演のグレゴリー・ペックが所有していたが、ペック自身のコメントでは必ずしも映画の出来に満足していなかったことが伺われる。
この作品は、宝塚歌劇団雪組が「ワンダーランド」の中で題材として使った作品である。実際に見ると本当にカッコよく「白い海の悪魔」として歌の歌詞の中に出てくる。
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