シロナガスクジラ
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シロナガスクジラ Blue Whale |
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Balaenoptera musculus | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Blue Whale |
シロナガスクジラ(白長須鯨)はクジラの1種である。現存する最大の動物種(現存する最大の生物は植物のセコイア)。かつて地球上に存在したあらゆる哺乳類の中で最大の種であり、記録では体長34メートルのものまで確認されている。長須とは長身の意味で、水面に浮かび上がる際に水上からは白く見えることからこの和名がある。英語では腹側に付着した珪藻によって黄色味を帯びて見えることから"sulphur bottom" (硫黄色の腹の意)とも呼ばれる。
目次 |
[編集] 特徴
体長20~30m、体重100~160t。成体ではオスよりメスのほうが若干大きい。流線型の体型をしており、尖った頭部をもつ。細く長い胸びれ、横に広がった薄い尾ひれをもつ。また、背中の後方には小さな背びれをもつ。この背びれの形や、付近の模様から個体識別を行うことができる。体表は淡灰色と白のまだら模様で、のどから胸にかけては白い模様になっている。のどの表面には60本程度の畝(うね)がある。主食であるオキアミを捕食するときは、この畝が広がって大きなのど袋をつくる。頭頂部には2つの噴気孔がある。
[編集] 生態
全海域に生息し、回遊を行う。多くの個体が夏は、オキアミが豊富な北極海・南極海の積氷まぎわまで回遊し、冬には熱帯または亜熱帯で繁殖を行う。オホーツク海など付属海にはあまり入らない。繁殖期や子育ての期間を除き、基本的に単独で行動する。
オキアミを主食とし、上あごにある「ひげ板」でこしとって採食する。成体では一日に4t程度のオキアミを捕食する。最近の研究ではイワシも捕食する事が分かっている。
メスは2~3年ごとに出産する。夏に交尾し、妊娠期間は約11ヶ月。体長約7mの子どもを通常1頭出産する。まれに双子が生まれることもある。授乳期間は7~8ヶ月。若い個体は、急角度で水面から飛び出し着水する「ブリーチング」をしばしば行う。
シロナガスクジラは最も大きな鳴き声をあげる動物種でもある。低周波の大きなうなり声を発し、音量は180ホンを超えることもある。この鳴き声により個体間のコミュニケーションを行っており、150km以上先の相手とも連絡をとる事が出来る。
[編集] 分類
シロナガスクジラの学名 Balaenoptera musculusは1758年にカール・リンネによって命名されたものであるが、その他、Balaena maximus、Roaqualis borealis、Sibbaldus musculus、Sibbaldus sulpureusといった複数の学名が永きにわたり並存し、混乱をきたした。1903年、E・G・ラコビツァにより、これらの学名が整理され、初めて最終的な学名が確定した。
シロナガスクジラの亜種としてピグミーシロナガスクジラB.m.brevicaudaが分類されている。
[編集] 絶滅の危機
シロナガスクジラは巨大さから、古くは捕鯨の対象とはならず、元々は個体数は30万頭いたと推定されている。 しかし、19世紀以降、爆発銛、大型・高速の捕鯨船が導入されて以降、欧米諸国の近代捕鯨の対象となった。特にシロナガスクジラは個体あたりの鯨油の生産量が最も高いため、乱獲が進んだ。最盛期である1930年から1931年にかけての1漁期だけで約3万頭が捕獲された。捕鯨禁止令が出た時点でその数は7千頭にまで減っており,現在もその数は増えていない。1946年の国際捕鯨取締り条約でようやく、捕獲量に制限が設けられ、1966年には全面的に捕獲が禁止された。 現在では一部地域で個体数が増加したとの報告もあるが、個体群の中には個体数の減少が回復不可能なレベルに達しているものもあり、依然絶滅の危惧の状態が続いている。
[編集] Status
ENDANGERED (IUCN Red List)
[編集] 外部リンク
カテゴリ: Endangered | クジラ