産業用ロボット
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産業用ロボット(さんぎょうよう - 、Industrial robot)とは、人間の代わりに作業を行う機械装置である。産業ロボットとも言う。
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[編集] 産業用ロボットの概要
厳密にはティーチングプレイバックという方法で動作する産業用の機械を指す。しかし、最近では人間の代わりに作業をする機械としての役割が重視されることから、ある程度自律的に動作する人間の腕に似た機械、として解釈されるのが一般的である。 また。ISOによれば、「3軸以上の自由度を持つ、自動制御、プログラム可能なマニピュレータ」と定義されている。
例えば自動車の生産工場で使われるロボットの場合、スポット溶接を行うロボット、ボディ塗装を行うロボット、部品取り付けを行うロボットが多く見られる。人間が作業を行う場合、重量物の運搬を使用を必要としたり、霧散している塗料を吸い込む危険性など、肉体的負担の大きい労働環境である場合が多い。このような環境での作業時、労働者への大きな負荷から作業ミスを誘発する恐れもあり、品質安定の面からもロボットが用いられる。
また、労働者の賃金が高い日本で工場を維持するために、工場全体をロボット化して、最低限の要員のみで運営している事例も存在する。このような工場の自動化をファクトリーオートメーション(FA)と呼ぶ。
同じロボットでも歩行ロボットとは大きく異なるものである。設計思想が異なり、使われているテクノロジーも少々違う。 今のところ歩行ロボットが産業用に使われた例は無いが、将来的な可能性はある。
[編集] 日本における産業用ロボット
日本は年間約10万台程度の産業用ロボットを生産しており、これは世界中で生産される産業用ロボットの7割に匹敵する。 また、全世界で約80万台の産業用ロボットが稼動している。そのうち約40%、35万台が日本で使われており、日本の経済とものづくりを大きく支えている。 2年に一度、日本で開かれる国際ロボット展は世界最大のロボットのメッセである。
[編集] 主な用途
[編集] 産業用ロボットの種類
[編集] 形状による分類
- 垂直多関節ロボット 多関節ロボットと単純に言った場合はこれを指す事が多い。
- 水平多関節ロボット スカラー型ロボットとも言う。
- 直交ロボット
- パラレルリンクロボット
[編集] 用途による分類
- 溶接ロボット
- 組立ロボット
- 搬送ロボット
- 塗装ロボット
- 検査ロボット
- 研磨ロボット
- 洗浄ロボット
[編集] (参考)非工業向けロボット
産業用ロボットはIndustrial robotの邦訳である。したがって、サービス産業などで使われているロボットは産業用ロボットとは区別するのが適当である。これらのロボットの中にはロボットと言い難いものもある。
[編集] 産業用ロボットの特徴
産業用ロボットは自動制御を行う点でCNC工作機械とよく似ており、FA設備として同じような印象を受けるが、コンセプト的には、産業用ロボットはティーチングプレイバックを行う点で区別される。 もちろん、中間的な製品も存在する。(例:3次元レーザー切断装置) また、産業用ロボットはティーチングプレイバックを行うだけでなく、ある程度自律的な動作が可能な機械として解釈されるのが普通である。 機械装置としては産業用ロボットは次のような特徴がある。
- CNC工作機械は数値制御を行なうが、ロボットは行なわない
- ロボットは条件分岐命令を持つ
- ロボットは数値制御をしない
数値制御の場合、それぞれの軸が独立しており、X軸が100.0mm動く指令が出れば、エンコーダにより、Xに100.0mm移動することが保証されている。
一方ロボットはX軸、Y軸、Z軸それぞれの方向に独立した動作機構を持っているわけではない。例えば、X方向に100.0mm動く指令が出た場合、ロボットの全てのモーターに指令が行き、結果としてX方向に100.0mm動く。しかしX軸のエンコーダを持っているわけではないので、その100.0mmは「計算上の」100.0mmであり、100.0mm移動したという保証はされていない。 (ただし、直交ロボットを除く)
つまり、CNC工作機械はNC制御を行うが、産業用ロボットは一般的にはNC制御を行わない。 簡単に言えば、常に定規で測りながら動いているのがNC、目隠しで動いているのがロボットと言えよう。
このため、産業用ロボットの精度は繰り返し位置精度という、位置の再現精度で表される。 また、ふつう産業用ロボットは機械加工のような絶対的な位置精度が必要とされる作業には使われない。
- ロボットは条件分岐命令を豊富に持つ
産業用ロボットもCNC工作機械もプログラムを実行していくことで作業を行うことに違いは無い。つまりロボットと言えども産業用ロボットはプログラムに無い動作をすることはない。
しかし、産業用ロボットは自律的に動作することが可能であり、その点がCNC工作機械とは大きく違っている。 具体的に言えば産業用ロボットは条件判断命令を持つ。つまり、状況の変化を検出して動作を変化させたり、適切なプログラムを選択したりすることができる。 そのため、多少歪んだ物でもそれなりに加工したり搬送したりすることができる。 CNC工作機械は正確に物を加工することを目的とする装置なので、条件判断命令を持たないか、あっても異常の検出程度にしか使わないのが普通である。 また条件分岐命令を活用するために豊富な入出力インターフェースを備えていることもロボットの特徴と言える。
ロボットはNC制御ではないため、計算上の座標空間で動作しており、その動作には常に誤差がある。 しかし、そもそもロボットは誤差のあるものを加工対象として開発された機械で、センサーで状況を検出し柔軟な動作をすることを前提に作られているわけである。
ただし、全てのロボットがロボットとしての機能を必要として導入されているわけではなく、単に動作の自由度の高さや、品質の向上を目的としてロボットが導入されることも多い。
[編集] 産業用ロボットのプログラム
詳しくはティーチングの項を参照。 産業用ロボットのプログラムはティーチングによって行なう。 産業用ロボットはティーチングによって「記録」された動作を「再生」するとこで作業を行なう。 これをティーチングプレイバックといい、この機能を持つことが産業用ロボットの定義の一つとなっている。 通常、ティーチングには実機を使用するが、机上で行なうために3DCGを使ったオフラインティーチングも良く行われるようになっている。
[編集] ロボットシステム
ロボットは単独で使われることは無く、ふつう周辺装置と組み合わせてシステムとして使われる。素材関連を除く生産設備としてはもっとも大きなものの一つである。ロボットを生産設備として機能させるには、非常に多くの周辺設備と高度なノウハウが必要になる。
[編集] 関連リンク
- 主な産業用ロボットメーカー
[編集] 外部リンク
- 関連団体