独我論
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独我論 (どくがろん、英:solipsism) にはいくつかの形態がある。
一つ目は世界には「私」しか唯一確実に存在せず、一切の世界はその「私」の意識内の現象だと考える。バークリの知覚したものだけが真に存在するという物質世界の客観性を否定した素朴観念論的、デカルト的な哲学的立場。この独我論は観念論の不可知なる世界(見えない世界)の蓋然性を克服しようとした極端な形であると言える。
二つ目はウィトゲンシュタインにおいて、自己と他者の非同一性の考察から出発した、世界の人間のうち、一人だけ本当の私がいて、他の人間は意識的な存在者ではあっても、この私ではない。すなわち、本当の私は自分一人のみであるという主張。また、彼においては「私に見えるもの(あるいは今見えるもの)だけが真に見えるものである」ということで表現される。
古来はその世界観(世界の存在を通して)を批判されていたが、現代ではその「私」とは何であるかという形で批判を受けている。