牧口雄二
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牧口雄二(まきぐち ゆうじ、1936年6月29日-)は日本の映画監督。東映の映画監督。東京都港区麻布で育つ。東京都立九段高等学校を経て慶応大学文学部を卒業後、1960年に東映に入社。以来、京都に在住し、東映京都で山下耕作・中島貞夫作品の助監督を経て、1975年に『玉割り人ゆき』で監督デビュー。1977年の『らしゃめん』を最後に劇場映画を離れ、TV作品を中心に活動。1996年に東映を定年退社後、同社のTV作品などを手がけた後、現在は映像業界から退いている。
監督デビューが決まった頃には邦画は全盛期を過ぎ、東映が低予算の娯楽映画、成人映画中心のラインナップになっていた為、作品歴はエログロの併映作品で占められているが、当時の映画監督としては叙情的な演出とソフトな画面作りによる映像美を展開できる稀有な才能を持っており、その作風は作品のところどころに表れていて、天賦ともいえる映像感覚を発揮できずに一線を引いてしまったのが惜しまれる映像人である。
特に楼閣の遊女に性技を仕込む玉割り人・ゆきの悲恋を描いた『玉割り人ゆき』シリーズ、男を殺しまくる尼寺を舞台にラストに圧倒的な映像美を見せる『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』、明治時代の毒婦・高橋お伝を主役に和製『俺たちに明日はない』ともいえる青春犯罪ドラマとなった『毒婦お伝と首切り浅』は評価が高い。また、『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』は一部海外の好事家に注目されており、フランスでDVDソフトが販売されていた。
目次 |
[編集] 映画
[編集] 監督作品
- 『玉割り人ゆき』(1975年)
- 『五月みどりのかまきり夫人の告白』(1975年)
- 『玉割り人ゆき 西の廓夕月楼』(1976年)
- 『戦後猟奇犯罪史』(1976年)
- 『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』(1976年)
- 『広島仁義 人質奪回作戦』(1976年)
- 『毒婦お伝と首切り浅』(1977年)
- 『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』(1977年)
- 『らしゃめん』(1977年)
- 『女郎蜘蛛』(1996年、ビデオ作品)
[編集] 助監督作品
- 『関の弥太ッぺ』(1963年)
- 『大奥(秘)物語』(1967年)
- 『徳川女刑罰史』(1968年)
- 『極道vs不良番長』(1974年)
[編集] テレビ
- 『影の軍団』
- 『12時間超ワイドドラマ 風雲 柳生武芸帳』
- 『12時間超ワイドドラマ 徳川風雲録 御三家の野望』
- 『12時間超ワイドドラマ 風雲江戸城 怒涛の将軍徳川家光』
[編集] 関連書籍
- 『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』(ワイズ出版、筒井武文/多田 功)
- 『悪趣味邦画劇場』(洋泉社)